埼玉新聞

 

人気カフェ「AGURA」、埼玉・毛呂山に 温かい気遣い 定評ビーガン料理、発酵食、ロールケーキも注目

  • ブリの醤油糀蒸し焼きプレート。酵素玄米のほか、サラダや小鉢などが付く

  • 木の空間と健康食材にこだわったカフェを運営する(左から)本山さん、煙山さん、土屋さんら=毛呂山町前久保南

 地元の間伐材などを使って空き家を改修し、無農薬・無添加の食材で調理した料理を提供するカフェが毛呂山町にある。シングルマザー支援や空き家活用に長年取り組んできた1級建築士の本山千絵さん(53)が今年3月にオープンさせた「cafeAGURA(あぐら)」。人間関係や食で悩んできたスタッフらは「人に優しい住空間と食で、心も体も健康になってほしい」と呼び掛ける。

 東武越生線武州長瀬駅近く、新興住宅地の一角。おしゃれなウッドデッキに上がりドアを開けると、木の空間が広がる。古代杉の一枚板で造られたテーブルに提供される料理は、発酵食を中心に、塩こうじやしょうゆこうじなど手作りの調味料を使用。炊いてから3日以上寝かせて作る酵素玄米は、玄米とは思えないほど軟らかく、これを求めて訪れる客も少なくないという。

 本山さんは昨年末から、建築家仲間らと同所の中古住宅を改修。壁などを取り払い、床を張り替えた。壁の塗り替えは参加者を募り、体験会として実施した。「コンクリートで固めビニールで覆うのではなく、自然素材による建築を心掛けた」と本山さん。木の文化を発信したいと語った。

 調理担当の土屋優乃さん(25)は摂食障害で悩んだ経験を持ち、食材や調理方法に細心の注意を払っている。卵製品を使わずに豆乳をベースにしたタルタルソースをかけた厚揚げ南蛮プレートなど、動物性食材を使わないビーガン料理に定評がある。土屋さんの母親手作りの「ふわもち米粉ロールケーキ」も人気だ。

 店長の煙山幸恵さん(48)は、人間関係に悩み昨年9月、同町に越してきた。「知っている人がいない場所を探していたらここにたどり着いた。ゆず畑の再生に取り組む人たちを通して本山さんと出会い、スタッフとして働くことになった」と話す。長男がアレルギー体質だったことから腸内環境や発酵食を意識。健康と味を両立させた「小松菜の塩糀グリーンカレー」や「魚の醤油糀蒸し焼き」を考案した。

 東松山から毎週のように訪れるという会社員の川原正芳さん(48)は「酵素玄米が食べたくて来ている。おいしくて栄養バランスが取れ、体調がよくなった」と話していた。

 午前11時~午後3時まで。水・日曜休み。テークアウトにも対応している。

 問い合わせは、同カフェ(電話049・298・6830)へ。

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