埼玉新聞

 

“翔んで埼玉”生みの親・魔夜峰央さん、描けないもの語る 呼び名「ダサイタマ」が嫌いな理由 埼玉の名所は「…あるんですか」

  • 県内外から集まったファンの質問に答える魔夜峰央さん=24日午後、さいたま市立漫画会館

    県内外から集まったファンの質問に答える魔夜峰央さん=24日午後、さいたま市立漫画会館

  • 県内外から集まったファンの質問に答える魔夜峰央さん=24日午後、さいたま市立漫画会館

 映画「翔(と)んで埼玉」の原作者で漫画家の魔夜峰央さん(70)が24日、自身の画業50年を記念する原画展が開かれているさいたま市立漫画会館(さいたま市北区)で「ミニトークショー&サイン会」を行った。次々に明かされる創作秘話や普段の生活ぶりに、県内外から集まったファン50人は熱心に聞き入った。

 魔夜さんは新潟県出身。1973年に漫画家デビュー。代表作は、10歳の国王が大暴れするギャグ漫画「パタリロ!」で、最新刊は104巻に到達。79年から4年間、所沢市内に住んでいたことをきっかけに、東京に憧れる県民性をからかった「翔んで埼玉」を発表。2019年に実写映画化され、全国に埼玉ブームを巻き起こした。

 トークショーには427人の応募があり、抽選で選ばれた50人が参加。会場から「ミーちゃん(魔夜さんのあだな)、50周年おめでとう」とのかけ声が飛ぶと、魔夜さんはやや照れた様子で椅子に座った。

 トークショーは事前に集めた質問にランダムに答えていく形式。美少年の同性愛を描くことで有名な魔夜さん。「BL(ボーイズラブ)は女性作家のジャンルというイメージだが、なぜ男性同士の恋愛を描こうと思ったのか」との問いに対し、「実は女性が描けない。でも男の子の体を持った女の子なら描けることに気付いた。マライヒ(『パタリロ!』に登場する殺し屋の美少年)は世話女房の位置付けで、BLを描いているつもりがない」と話した。

 夜型で、かつ集中するために昼間でもシャッターを閉め暗めの照明の下で仕事をしていること、ベタ(黒く塗った部分)は3度塗りするなど創作のこだわりを明かした。

 参加者の半数が県民ということで、「翔んで~」への質問も相次いだ。漫画の続編を望む声に対しては「ない。無理ですよ」ときっぱり。埼玉の名所についてには「…あるんですか」と応じ、会場は笑いに包まれた。また「埼玉への愛はないが、蔑視(べっし)もしていない。なので『ダサイタマ』という軽蔑した言い方は嫌いなんです」と独自の表現で“埼玉愛”を語った。

 参加した坂戸市の田中栄さん(61)は「昔からの大ファン。埼玉ディスは『あるある』と共感する部分が多く、なんといっても魔夜先生の愛を感じる」と笑顔。トークショー後、魔夜さんは「けなしているのに喜ばれ、翔んで埼玉は県民の寛大さに救われた漫画」と感謝の言葉を述べた。
 

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