埼玉新聞

 

突然の通告…障害者に優しいプール「営業休止」 小川町福祉センター利用者ら、継続求め請願書「再出発を」

  • 高橋利郎議会事務局長(右)に、大戸久一議長宛ての小川町総合福祉センターのプール・浴室の存続を求める請願書を提出した内田静子さん(左)ら=18日午後、小川町役場議長室

  • 小川町総合福祉センター。道路沿いには「日帰り入浴できます」のPR看板も出ている=小川町腰越

 小川町総合福祉センター「パトリアおがわ」が運営するプールや浴室の存続を求める町民の請願書が18日、同町議会に提出された。突然の来春での「営業休止」通告に、利用者らが継続・検討を求め署名活動を展開した。

 利用者は「障害者にも高齢者にも優しい施設。閉鎖されると困る人がたくさんいる」と訴えている。

 10月初め、「老朽化に伴い安全・安定的な運営が懸念される」として、来年3月末での営業休止の通告があった。突然の話に驚いた利用者らが10月5日~11月10日、町当局への継続・検討を求めて署名活動を行い、3200人を超える署名を集めた。

 代表の内田静子さん(74)は「毎日、障害のある息子と水中運動をしている。生活の一部で楽しみがなくなる。障害者の利用は条件付き施設が大半だが、ここはない。(その意味では町が)ほかに誇れる施設。町外から来る障害者の親子も多い。ぜひ継続してほしい」と話した。

 森田緑さん(66)は「手術後の体力づくりに利用している。プールと浴室は高齢者らの健康維持、認知症予防にも役立っている。年間5万7千人もの利用があるプール・浴室を閉鎖する必要があるのか疑問だ」と話す。

 同施設は1998年に開設された。プールは20メートル、浴室の定員は男女各35人。使用料は子ども100円、大人400円、高齢者・障害者は200円。「日帰り入浴できます」の看板を掲げ、ハイカーやサイクリストの利用も多いという。

 町は浴室とプールの利用者数や、利用料収入の減少、運営、維持、修繕工事費が高額になるなどを理由に、「より広く町民に利用してもらう施設に転換したい」と説明。来年の3月議会に提案する新年度予算案に関連予算を計上するという。町は17日に町民からの要望で説明会を開いた。

 参加した町民からは「利用者の声を聞かないで、予算がない、閉鎖ありきで進んでいる」「3年前に転居、ぜんそくの持病がある。プールが利用できるのを確認してから決めたのに…」「税収や人口の減少はどこも同じ。利用料を上げるとか、新しい運営方法を考えるべき」「白紙撤回し、住民参加で検討会を開き、再出発してもらいたい」などの意見や要望が出ていた。

 松本恒夫町長は説明会で「3年前から、さまざまな角度から検討してきた。この意見を持ち帰って、(どうするか)検討したい」と述べた。

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