埼玉新聞

 

私もいつか人間に…蕨で「仮放免」クルド人らが集会 諦めた夢、捨てきれぬ夢…入管難民法改正、反対訴える

  • 集会で講演するクルド人大学生の男性=27日午後、埼玉県蕨市

    集会で講演するクルド人大学生の男性=27日午後、埼玉県蕨市

  • 集会で講演するクルド人大学生の男性=27日午後、埼玉県蕨市

 外国人の収容や送還のルールを見直す入管難民法の改正が国会で審議されていることを受け、埼玉県川口や蕨市などで暮らすトルコ国籍のクルド人らは27日、蕨市立文化ホールくるるで集会を行った。難民申請中であるものの、在留資格がなく入管庁での収容を一時的に解かれた「仮放免」当事者らは改正法案成立への危機感をあらわにした。

 同法改正案で注目されているのは国内の難民申請者の強制送還に関する新基準。現行法では、難民申請中であれば対象にならなかったが、改正案では申請回数を原則2回までに制限し、3回目以降は申請中であっても強制送還を可能にする。衆院では既に審議が終了し通過。現在は参院で審議されており、立憲民主党などは認定を行う独立行政委員会の設置を盛り込んだ対案を同院に提出するなど激しい論戦が繰り広げられている。

 この日講演した仮放免中の大学生のクルド人男性も難民申請3回目。「今でもトルコ国内ではクルド人に対する迫害が行われていると聞いた。強制送還の対象になったら多くの人が危険にさらされる」と話し、改正案審議の動向から目が離せないという。

 男性は小学生のころに来日し、これまでの人生の大半を日本で過ごした。仮放免という立場であることを理由に、学校になじめたきっかけになったサッカーでプロ選手になる夢も諦め、大学の同級生らが始めた就職活動もできていない。

 そんな状況でも国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で働く夢は捨てきれないという。「世界には不安定な生活状況で夢すら持つことができない難民がたくさんいる。誰もが人権を保障される国際社会をつくりたい」と語り、最後に「人間であれば誰でも生まれながらにして持っていて、誰からも奪われることがない権利が人権であるのであれば、私もいつか人間になりたい」と訴えた。

 このほか、集会では仮放免入管体制などの研究者による講演やクルドの民族音楽の演奏なども行われた。

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