埼玉新聞

 

【連載】埼玉発・企業トップが語る成長戦略 ギノウス・川﨑浩司社長〈前編〉 「持つ経営」で商業施設に特化 職人の価値高める

  • インタビューに答えるギノウスの川﨑浩司社長=三芳町上富の本社

    インタビューに答えるギノウスの川﨑浩司社長=三芳町上富の本社

  • 街の景観に調和する白を基調とした新社屋=三芳町上富(ギノウス提供)

    街の景観に調和する白を基調とした新社屋=三芳町上富(ギノウス提供)

  • 厳しい条件にも対応するプロの技術者集団(ギノウス提供)

    厳しい条件にも対応するプロの技術者集団(ギノウス提供)

  • 社名の「ギノウス」は「技能(ギノウ)」とギリシア語の「心・魂」などの意味「ノウス」を組み合わせた(ギノウス提供)

    社名の「ギノウス」は「技能(ギノウ)」とギリシア語の「心・魂」などの意味「ノウス」を組み合わせた(ギノウス提供)

  • インタビューに答えるギノウスの川﨑浩司社長=三芳町上富の本社
  • 街の景観に調和する白を基調とした新社屋=三芳町上富(ギノウス提供)
  • 厳しい条件にも対応するプロの技術者集団(ギノウス提供)
  • 社名の「ギノウス」は「技能(ギノウ)」とギリシア語の「心・魂」などの意味「ノウス」を組み合わせた(ギノウス提供)

 商業施設に特化した左官やタイル・レンガ、ブロック工事などの湿式(しっしき)専門工事を手がけるギノウス(三芳町上富)。高い技術力と組織力を誇るプロの技術者集団として、着実な成長を遂げている。川﨑浩司社長に同社の強みと今後の戦略を聞いた。

 ―2005年の社名変更に込めた思いをお聞かせください。

 「日本の伝統的な『技能(ギノウ)』に、ギリシア語で『知性・理性・心・魂』を意味する『ノウス』を組み合わせた。高度な技能と豊かな人間力を併せ持つ、真の技能者集団を作りたいと考えたからだ。これは、単なる作業員ではなく、自立したプロフェッショナルを育てるという決意の表れでもある。そう強く願うようになったきっかけは、ドイツへの視察だ。現地で出会ったマイスターから、卓越した技能だけでなく、人に対する深い思いやりを感じた。日本の職人もこうありたいと、強く胸を打たれた」

 ―御社の強みはどこにありますか。

 「リスクを背負って『職人』『材料』『車両』を自社保有している点だ。現在の建設業界は外注化による『持たない経営』が主流だが、ギノウスは真逆をいく。リスクを避けて持たない経営をすることこそ、長期的には最大の経営リスクだと考えている。すべてを自社で抱えることで、他社には真似できない圧倒的な現場力が生まれ、顧客の期待を超える品質と迅速な対応が可能になる」

 「若くして先代から会社を引き継いだ際、最初の10年間は365日休みなく、毎日3時間の睡眠で懸命に働いた。その泥臭い原体験があるからこそ、現場の職人の価値が誰よりも分かる。職人を守り、業界の未来を作るという『道徳』を通すためには、ビジネスでリスクを背負い、高い利益率を叩き出す『経済』を確立しなければならない。二宮尊徳の『道徳経済一元論』という教えの通り、道徳と経済は一体だ。経営者が覚悟を持ってリスクを背負い、ビジネスを成立させるからこそ、圧倒的な成果となって会社に返ってくる。職人の待遇改善も、この好循環があって初めて実現できる」

 ―ターゲットを商業施設に特化している理由は。

 「下請けから脱却し、自社で価格決定権を持つためだ。多くの下請け企業は元請けの言い値で仕事を引き受けるため、職人が汗を流しても適切な給与を払えず、若手も集まらない。このジリ貧の構造を壊し、技術に正当な対価を得ようと考えた結果、たどり着いたのが商業施設だった」

 「商業施設の現場は、一般的な建築現場に比べて条件が極めて厳しい。オープン日が絶対に動かせない超短納期、他の店舗の営業を妨げないための完全夜間施工、そしてブランドの魅力を左右する高いデザイン性とミリ単位の施工精度が求められる。参入障壁が高いからこそ、ギノウスの『持つ経営』が爆発的な強みになる」

 「自社で最適な材料を常に大量ストックしているため、急な設計変更やトラブルにも即座に代替案を出せる。一から育てたプロの職人集団だからこそ、タイトな時間内でも妥協のないクオリティで対応でき、車両をフル稼働させることで緊急の現場にもどこよりも早く駆けつけられる。材料・人・物流のすべてを内製化することで、元請けを通さずとも『ギノウスに直接頼みたい』という指名買いの状態を作ることができた。これが高い利益率を支える源泉だ」

【企業概要】ギノウス株式会社…本社・三芳町上富2041。1976年5月に設立。資本金は1000万円、従業員数は38人(2026年年9月末現在)。左官やタイル・レンガ、ブロック工事などの湿式専門工事を手がける。

 

【埼玉県の経済をけん引する企業トップに焦点を当てた、新インタビュー連載「埼玉発・企業トップが語る成長戦略」がスタート。毎週火曜日と金曜日の週2回、電子版で配信する。激変する経営環境のなかで、いかにして次の成長カーブを描いているのか。最前線で舵を取る経営者の戦略に迫る】

=埼玉新聞WEB版=

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