与えられた機会、全力で…今大会から認められた女子ノッカー、開幕試合に立つ 真面目で一生懸命な姿勢、絶賛する監督が打診 背中を追った兄は最後の夏に先発、同じグラウンドに…母、目を潤ませ「奇跡」
第108回全国高校野球選手権埼玉大会が8日、さいたま市の県営大宮球場で開幕した。今大会から女子ノッカーが認められ、飯能高校の女子部員、花岡咲愛(さくら)選手(2年)が開幕試合のグラウンドに立った。
「夏大(なつたい)いけるか?」。甲原史朗監督からノッカーでの起用を伝えられたのは、6月17日の組み合わせ抽選会の後だった。「びっくりしたが、せっかく機会を与えてくれた。全力でやろうと思った」と花岡さん。
小学1年生で野球を始めた。先にクラブチームに入った兄晴翔(はると)選手(3年)の影響だった。プレー面はもちろん、仲間と一緒にできることが楽しかった。中学生でも男女混合のクラブチームに所属し、試合に出場した。
野球を続けたい気持ちはあったが、近くに女子チームがなく悩んでいた中学3年生の時。兄が所属する飯能高校の試合を応援に行き、甲原監督に誘われた。うれしい半面、体力や技術面での不安を感じて「迷惑をかけてしまうかも」と迷う気持ちもあった。両親とも相談し、徐々に心は決まっていった。「ずっと野球をやってきたから、出たい気持ちはあった。でも『咲愛がやっているんだから、俺らも頑張らなきゃ』という姿を見せられたらと思った」
「真面目で一生懸命」。甲原監督は花岡さんを絶賛する。入部当初はトレーニングについていけず、悔しがる姿も見てきた。半分でもいいと伝えても、花岡さんは「最後までやります」と諦めなかった。「日の当たるところで何か機会があれば」と考えていたところ、女子ノッカーが認められ「チャンスだと思った。野球少女たちの希望にもなる」と声をかけたという。
自主練習に励み、迎えた本番―。グラウンドで堂々とノッカーを務める花岡さんの姿があった。フライも上がらず、「今までで一番いい出来だった」と甲原監督。晴翔選手は一塁手で先発出場し、スタンドから見守った母の望さん(47)は「兄の最後の夏に一緒に立てるのは奇跡。一生懸命練習していたから、大丈夫と信じていた」と目を潤ませた。
チームは九回裏に逆転サヨナラ勝ち。最後まで諦めず粘りを見せるチームメートに、花岡さんはスタンドから大きな声援を送り続けた。
「いつかベンチに入れたら」。花岡さんは願う。「女子選手も活躍できる場が少しずつ増えている。(いずれ可能になると)信じています」。その日に備え、全力プレーで実力を磨いていく。











