【連載】<高校野球>埼玉大会 今年から導入、勝負の鍵DH 投手専念で負担軽減 チームづくりにも変化 「走者の気持ちが分からなくなる」危惧の声も
■投手へのメリット
指名打者(DH)制によって投手が恩恵を受ける部分もある。DHが打席に立ってくれることで、攻撃の時間を休息に充てることができる。攻撃時に全力疾走した直後にマウンドに上がる必要もなくなる。
体力面以外にも利点がある。熊谷商を14年間指揮する新井茂監督は「投手が打席に立たない分、バッテリー間の確認と修正の時間が生まれる」と言う。時間や回数が限られている守備のタイムを使わずに、より確実な擦り合わせができる。
投球以外の負担が軽減されて本業に専念することができれば、本来の力を発揮できる。
■チームづくりに変化
DH制の導入に合わせて、練習内容を変えたチームもある。22日、浦和麗明グラウンドでは、野手陣が打撃練習をしている時に投手陣は外野で筋力トレーニングに励んでいた。佐藤隼人監督は「投手はDHのおかげで必要な練習に絞れる」と選手それぞれの役割に集中した効率的な練習を追求する。
同校では、普段から投手陣は打撃、走塁練習をほとんど行わず、その時間を投球や守備連係などに費やしているという。「うちは守備から試合をつくるチームだから、プラスしかない」とチームカラーに合わせた総合力の底上げを図っている。
■専念で生じる懸念
DHありきで投球のみに傾注させることにデメリットを感じる監督もいる。昌平の岩崎優一監督は「投手の走塁練習の機会が減ると、走者の気持ちが分からなくなる。守備に影響が出る」と危惧する。
投手の仕事は打者を抑えるだけではない。投球の間を変え、けん制を入れるなどして走者の進塁を防ぐことも失点を減らす重要な技術だ。同校では、あえて投手にも走塁練習をさせている。
DH制は攻撃面でのメリットに注目されがちだが、投手に及ぼす影響も大きい。各チームごとの戦略に合わせた投手育成ができているかが大事なポイントになる。選択肢が増えた分だけチームづくりが多種多様になっている。











