埼玉新聞

 

埼玉の中学生すごい…県内初の水生生物発見 大宮北中3年の佐藤さん チャイロチビゲンゴロウを独自調査 査読付き論文掲載

  • チャイロチビゲンゴロウの論文を手にする佐藤日向さん=さいたま市大宮区の市立大宮北中学校

    チャイロチビゲンゴロウの論文を手にする佐藤日向さん=さいたま市大宮区の市立大宮北中学校

  • チャイロチビゲンゴロウ(佐藤日向さん提供)

    チャイロチビゲンゴロウ(佐藤日向さん提供)

  • チャイロチビゲンゴロウの論文を手にする佐藤日向さん=さいたま市大宮区の市立大宮北中学校
  • チャイロチビゲンゴロウ(佐藤日向さん提供)

 「まるで宝探しのよう」―。水生生物や昆虫の採集について生き生きと語るのは、さいたま市立大宮北中学校3年の佐藤日向さん(14)だ。幼少期に昆虫のテレビ番組を見て魅了され、初めて報文の著者に名を連ねたのは小学6年生のとき。昨年は県内初の水生昆虫を発見し、今年5月末に査読付きのオンラインジャーナルに論文が掲載された。

■3歳で昆虫のとりこに

 3歳の頃、昆虫に関するテレビ番組を見て、虫取りにはまった。バッタやカブトムシ、クワガタ、珍しい種にも引かれるようになり、小学5年生のときにさいたま市内の池でヒメゲンゴロウを採集した。

 「図鑑で見て『かっこいいな』と感じていた水生昆虫が捕れたことがうれしくて」と佐藤さん。自宅で飼育を始めると生態の面白さに目覚め、別のゲンゴロウを求めて新潟や福島、山梨まで出かけ、2年がかりで見つけたこともあった。

 同じ頃にブログも開始し、6年生のときに北本市の公園で見つけた水生昆虫の写真を投稿したところ、複数の研究者からメッセージが届いた。同市で36年ぶりの発見となるセスジガムシだったのだ。その後、研究者の協力で報文になり、埼玉昆虫談話会の会誌に掲載された。

■国内最内陸記録

 以来、研究者から「調査に同行しないか」と声がかかり、これまでに関わった報文や論文の数は10に達した。

 最新の論文は、東京湾から30キロ以上離れたさいたま市の池や田んぼで発見したチャイロチビゲンゴロウに関するもので、5月末に査読付きのオンラインジャーナル「水生動物」に掲載された。この種は潮だまりや海に近い池など沿岸水域に生息することが知られ、これまでの最内陸記録は江戸川河口から15キロ離れた東京・葛飾区内だったという。

 発見場所は2年前から2週間に1度、独自調査を続けていた西区の池。25年3月、それまで見たことのない水生昆虫1個体を採集し、自宅で調べたところ、大きさや色、斑点模様からチャイロチビゲンゴロウと判明した。同年7月には別の水生昆虫を探しに行った桜区の田んぼでも30個体以上を発見している。

 同種の発見は県内初で、さらに国内最内陸記録であることも分かり、研究者2人と共に英語で論文を執筆した。佐藤さんは「査読で細かく指摘を受け、そのたびに書き直した。難しかったが、大切な経験になった」と振り返る。

 今回は幼虫を発見できなかったが、県内で繁殖している可能性もあるとして、今後も調査を続けていく考えだ。

■将来の夢は研究者

 捕虫ケースを持ち歩き、学校や帰り道で「面白い虫がいないか、常に探している」という佐藤さん。「木の上や葉、幹、地面など場所や着眼点を変えると、初めて見る虫も結構いる。ずっと探していた虫が見つかったときは達成感があるし、宝探しみたいです」

 将来の夢は、昆虫や生物に関係する研究の仕事に携わることだ。

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