希少種のハゼ発見 埼玉県環境アドバイザーの橋本さん さいたま市の見沼田んぼの水路で 調査報告を論文に
埼玉県環境アドバイザーでハゼの研究者でもある橋本健一さん(53)=さいたま市在住、大日本ダイヤコンサルタント所属=が、さいたま市の見沼田んぼ地域の水路で、希少なムサシノジュズカケハゼを発見した。市内での標本に基づく記録は初めてといい、調査報告をまとめた論文が3月末に刊行された県立川の博物館の紀要に掲載された。
■存在を明らかに
ムサシノジュズカケハゼは関東地方の河川にのみ生息し、環境省レッドリスト2020で絶滅危惧ⅠB類に選定されている。橋本さんによると、広域に分布するジュズカケハゼに似ているが細部に違いがあり、13年に上皇陛下らによって「ムサシノジュズカケハゼ」という和名が提唱されたという。県内では中部や北部で存在が確認されている。
さいたま市内でのジュズカケハゼ類の報告はあるものの、形態や色彩について詳細な記載がなく標本も所在不明。ムサシノジュズカケハゼの存在は明らかになっていなかった。
橋本さんは長年、ハゼの分類や生態を研究してきた。今回の論文共著者であるNPO法人エコ.エコ代表の加倉井憲一さんと妻範子さんが23年夏に撮影したハゼの写真を見て、希少種の可能性に気付いたという。水が澄んでいる24年冬に潜水し、写真と同種の1個体を発見。体長は39ミリで、唇の大きさや頭のうろこの位置、背びれと尻びれの筋の数からムサシノジュズカケハゼと断定した。
通水量や外来種駆除など今後の課題も含めて調査結果を論文にまとめ、県立川の博物館の紀要(26年)に掲載された。採取した標本は東京海洋大学マリンサイエンスミュージアムに寄贈した。
■水辺で環境学習
橋本さんは23年に同市緑区の池で希少な水草イヌタヌキモを発見するなど、希少種を通して子どもたちへの環境学習にも力を入れる。現在目指すのは、子どもたちが安全に遊びながら生態系などを学べる水辺づくりだ。
市内の水路には柵やフェンスが設置され、水辺に近づける場所がほとんどない。水辺づくりに適した場所を探す中で希少種の発見につながったといい、「水辺から遠ざかると自然や生物への関心が失われ、外来種や希少種の違いも分からなくなってしまう」と危惧する。
既に4カ所の候補地を見つけており、市や県に今後提案していく考えだ。県内の水辺で体験学習をした際には参加者から「自分の住んでいる地域にこんなにいろんな魚がいるとは」「外来種によって(在来種が)危険な状況と初めて知った」といった感想が寄せられたとして、橋本さんは「現場での体験は大切」と強調。「楽しく学ぶことができる水辺を次世代の子どもたちに残していきたい」と意欲を示す。









