埼玉新聞

 

埼玉から鉄道インフラ支える 電車に欠かせないパンタグラフの「舟体」製造 埼玉・熊谷の松田製作所 「1点物も多く、数年に1回しか注文が来ないタイプも」

  • パンタグラフの舟体を手にする松田製作所社長の松田健さん=熊谷市妻沼

    パンタグラフの舟体を手にする松田製作所社長の松田健さん=熊谷市妻沼

  • パンタグラフのイメージ

    鉄道車両の屋根上にあるパンタグラフのイメージ

  • 【地図】熊谷市(背景薄緑)

    熊谷市の位置

  • パンタグラフの舟体を手にする松田製作所社長の松田健さん=熊谷市妻沼
  • パンタグラフのイメージ
  • 【地図】熊谷市(背景薄緑)

 日本において鉄道は、社会を支える基幹の交通網だ。その中心を担う電車では、電流を取り込みながら車両を走らせる。欠かすことができないのがパンタグラフ。金属プレス、板金加工業の松田製作所は、主として架線との接触面の基盤となる「舟体(ふなたい)」を製造している。

 社長の松田健さん(48)は、祖父が1943年に市内で創業した町工場に勤めてきた。2015年、父弘さんとともに独立して会社を設立。3年前に弘さんが亡くなり、現在は1人で営む。舟体は60年以上前から、父が製造を担当してきた製品。周辺の部品を含め、今でも売り上げ全体の約9割を占めるという。

 JR貨物をはじめ、全国各地で使われている電車の舟体を受注している。パンタグラフは、車体が造られた年代や会社によって形状はさまざま。松田さんは「1点物も多く、数年に1回しか注文が来ないタイプもある。当社のように、小回りが利く会社ではないとできない」と語る。

 大学卒業後、業務用厨房機器メーカーで設計に携わっていた松田さんは28歳ぐらいの頃、祖父が起こし弘さんが2代目として働く会社に入った。舟体の生産を受け継ぐことになり、基礎から習得。「父からアドバイスをもらいつつ学び、一人前になるまで3年ほどかかった」と言う。

 舟体はステンレス製では厚さ約1ミリ、アルミ製は同1・6ミリの板を加工していく。「絞り」と呼ばれる曲線部が特に難しく、プレス機の使い方のちょっとした違いで割れてしまうという。「工程数が10~20もあるから、途中で失敗できない」と松田さん。年間50~100本程度の注文が入るが、同時進行で作りながら1本を完成させるまでに1カ月ぐらいを要する。

 今後の目標は、技術を継承する次世代を育て、自動車部品などほかの分野の製造も増やしていくことだという。松田さんは「社員を雇って、工場も大きくしていければ」と掲げる。普段から電車を見かけると、パンタグラフについ目がいく。「うちが作った舟体を使ったものは、すぐに分かる。インフラの末端を担っている誇りを持ちながら、他社にはできない仕事をしていきたい」と胸を張った。

【メモ】松田製作所 熊谷市妻沼2139の1(電話048・598・5490)。

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