「全国的にも珍しい例」…日常は子どもの居場所、非常時は災害支援の拠点に 昨年12月にオープンした「子ども食堂」 都内への通勤者が多い地域に誕生、災害時に保護者が帰宅困難になる可能性も 「子どもが孤立しないよう受け入れ、ケアできる場に」
平時は子どもの居場所、非常時は災害支援の拠点に―。昨年12月、さいたま市中央区にオープンした「リプロ・さいたま子ども食堂」は、二つの機能を併せ持つ新しい形の子ども食堂だ。運営するNPO法人「チアーズ」共同代表の本間香さん(65)は「全国的にも珍しい例。日常も非常時も、地域に役立つ場所にしたい」と意欲を示す。
■備蓄倉庫を完備
大きな窓や吹き抜けが印象的なリプロ・さいたま子ども食堂に、子どもたちのにぎやかな声が響く。北与野駅から徒歩5分の住宅街。毎月第1、2木曜の夕方、集まった子どもたちは一緒に調理したり、カードゲームで遊んだりと楽しいひとときを過ごす。
この子ども食堂の最大の特徴は備蓄倉庫だ。100人が10日間ほど過ごせるアルファ化米や水、インスタント食品、トイレットペーパー、生理用品などを常備し、地域の災害支援拠点として活用できる構造になっている。
「さいたま市子ども食堂ネットワーク」の代表も務め、さまざまな防災・災害支援活動に携わってきた本間さん。「この地域は都内への通勤者も多く、災害時に保護者が帰宅困難になる可能性がある。子どもが孤立しないよう受け入れ、ケアできる場にしたい」と言葉に力を込める。
■以前は元社員寮
この場所は以前、会社の男性社員寮だったという。不動産会社リプロが取得し、食堂として使われていた地下1階を無償提供したいと、同社の江戸修一社長から申し出があった。
「子どもたちが笑い合う様子をはじめ、『ここに本棚を作りたい』といった絵がどんどん浮かんできた」。見学時の印象について、本間さんはこう振り返る。一方で、テーブルやいす、冷蔵庫、女子トイレなどの設備がなく、高額なリフォーム費の発生が予想された。
緑区で子ども食堂を運営しながら、2年前には子ども食堂がない地域を回ろうとキッチンカーを購入したばかり。迷う気持ちも本間さんにはあったが、「北与野駅周辺は子ども食堂の空白地帯。ここにつくることに意味がある」と決断した。
■もしもの場所に
テーブルといすを購入し、物置スペースを女子トイレに改装。子どもたちが寝転んだり、赤ちゃん連れの人がおむつを交換したりできるように「床座」のスペースも設けた。
新たに製作した本棚はまだ空っぽだが、「地域の人から使わなくなった本を譲り受け、増やしていきたい」と本間さん。使用を終えた制服を集め、必要な家庭に渡す「制服バンク」も実施予定だ。
リフォーム代や必要な家電、食器などの購入費を合わせると500万円ほどかかる見込みで、一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。期間は1月20日まで。
本間さんは「『いつもの子ども食堂』が『もしもの時の子ども食堂』にもなれるよう、物と心の準備を進めていきます。皆さんのお力をいただけたらうれしい」と呼びかけている。
CFページは(https://camp-fire.jp/projects/900777/view)。










