指示役か…男4人を逮捕 埼玉の4件含む連続強盗、実行役らに犯行を指示した疑い 捜査本部、各組織の枠を超え情報を共有 押収のスマホ750台を解析、データを発見し4人が浮上 背景や収益の流れを捜査
首都圏を中心に昨年相次いだ匿名・流動型犯罪グループ(匿流)による広域連続強盗事件で、千葉県市川市の事件を指示したとして、埼玉県警や警視庁、神奈川、千葉県警の合同捜査本部は5日までに、住居侵入と強盗傷害の疑いで、20代の男4人を逮捕した。4人は埼玉県内の4事件を含む1都3県18件の事件を指示していたとみられ、捜査本部は組織の全容解明を進める。一連の事件で指示役が逮捕されたのは初めて。
4人はそれぞれ遠隔で事件の実行役らに具体的な犯行を指示し、複数の回収役を経由して被害金品を得ていたとみられる。18事件は昨年8~11月に発生し、被害総額は約2300万円相当。20人がけがを負うなどの被害に遭った。
実行役などはインターネットや交流サイト(SNS)上の闇バイトで募集され、秘匿性の高い通信アプリを通して指示を受けており、51人が逮捕されていた。捜査本部は各警察組織の枠を超えた情報共有を行い、押収した実行役らのスマートフォン約750台を解析し4人が浮上した。
逮捕されたのは、いずれも住所、職業不詳の男A(26)、男B(26)、男C(27)、仙台市青葉区上杉6丁目、職業不詳の男D(26)の4容疑者。
逮捕容疑は昨年10月17日午前1時20分から同2時45分ごろまでの間、千葉県市川市の50代女性方に侵入し、暴行を加えて、「金を出せ、殺すぞ」などと脅迫。現金計約4万8千円を奪うなどした疑い。女性は車で一時連れ去られ、埼玉県内で保護された。捜査に支障があるとして、認否を明らかにしていない。
4人は知人同士で、男A、男B、男Cは昨年11月、別事件の傷害容疑で逮捕され、男Aは今年8月、特殊詐欺事件に関与したとして警視庁に逮捕されていた。その後の捜査で押収したスマホから一連の事件に関する回収役のデータが発見され、捜査が前進。捜査関係者によると、一部は準暴力団「打越スペクターOBグループ」や指定暴力団住吉会系暴力団との関係があるとみられ、背景や犯罪収益の流れを捜査する。
5日には埼玉県警の平谷隆行捜査1課長ら4都県の担当課長、警視庁の親家和仁刑事部長が記者会見。親家刑事部長は「一つ一つの事実をパズルのピースのように組み合わせて、地道に構図を浮かび上がらせた」とした上で、「被害に遭われた方の怒りに応え、国民の不安感を払拭すべく全力で捜査した」と述べた。
埼玉県内では、昨年8月27日~10月1日、さいたま市西区と所沢市内の住宅などで4件の事件が発生。家人らが緊縛され暴行を受け、現金などを奪われた事件も起きた。5人がけがを負うなどの被害に遭い、被害総額は計約30万円。県警は実行役や被害品の回収役、リクルーターなど約20人を逮捕してきた。複数の強盗致傷事件の実行役らには、さいたま地裁で懲役6~8年の実刑判決が出ている。










