首を絞めナイフで刺した…女性2人死亡、死因は窒息 襲った疑いの男、階段を使い施設内を移動…犯行時は発見されないよう行動したか 「よくしゃべる普通の子」といわれる22歳
鶴ケ島市若葉2丁目の介護付き有料老人ホーム「若葉ナーシングホーム」で15日未明、入居者の女性2人が殺害された殺人事件で、殺人容疑で逮捕された元職員の無職の男(22)=熊谷市箱田4丁目=が被害女性2人について、「首を絞めてナイフで胸の辺りを刺した」と供述していることが17日、県警への取材で分かった。「2人に恨みはなかった」とも供述しており、県警は犯行動機などを捜査している。
捜査関係者などによると、男は熊谷市の自宅から自転車で現場に向かっており、「電車賃がなかった」と供述している。施設の正面玄関ではなく、職員らが使用する1階出入り口の電子錠で暗証番号を入力して開錠して侵入。5階の個室で就寝していた女性(89)を殺害した後、4階の個室で同じく就寝していた女性(89)を殺害したとみられる。
2人には首を絞められたような跡があり、上半身に複数の刃物によるものとみられる刺創があった。司法解剖の結果、2人の死因は頸部(けいぶ)圧迫による窒息とみられる。
県警によると、犯行時には施設内の階段を使って移動しており、「エレベーターを利用していることが夜勤の人に知られてしまうと、誰かいるだろうと怪しまれると思い、エレベーターを使わず、階段で上の階へ向かった」とも供述しているという。職員に発見されないように行動したとみられる。
男は、施設に滞在していた1時間ほどの間に事件を起こして逃走。17日午前8時40分ごろ、現場周辺で確保され、5階に入所していた女性を殺害した容疑で逮捕された。確保場所付近の路上には、血痕のようなものが付着した凶器とみられるナイフや犯行時に着用していたとみられる衣服、首を絞めることができる複数の物などが入ったバッグや自転車が発見された。
■男「普通の子だった」
鶴ケ島市の介護付き有料老人ホーム「若葉ナーシングホーム」で入居者の女性2人が殺害された事件。県警の捜査員が17日、前日に引き続き施設の現場検証を行っていた。デイサービスの利用者を乗せた車や県警の捜査員が出入りし、施設前には警察官が立って警戒していた。
逮捕された男と一緒に働いたことがあるという男性は男について、「日常会話程度しか話したことはないが、陽気でよくしゃべる普通の子だった」と振り返り「仕事もしっかりやっていて、入居者とトラブルがあったなども聞いたことがない」と語った。
5年前まで県内の別の老人ホームで働いていたという女性(75)=鶴ケ島市=は、事件を知り現場を訪れた。「人手不足が深刻だったため、応募してくれた人はほぼ採用していた印象。和やかな職場だったが、職員と入居者の小さなトラブルはあった」と話していた。










