「ひさしの下が腐っている」「早く直さないと雨漏り」…必要のない屋根修理の訪問勧誘 詐欺未遂などの疑いで男ら10人を逮捕 埼玉県警 700件、8億円近くを契約していたか 県警は組織の全容解明進める
必要のない住宅屋根修理を訪問勧誘して代金をだまし取ろうとしたとして、県警生活経済課と久喜署は12日、詐欺未遂と特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで、リフォーム事業を行う合同会社「ReLife」(川口市)代表の男(27)=川口市金山町=と従業員ら男女計10人を逮捕した。
男らは埼玉を含む関東6都県で同様の勧誘を行い、2023年11月~昨年7月までの間で、少なくとも700件(計7億9400万円)を契約していたとみられる。27歳の男はグループを統括していたといい、県警は余罪や組織の全容解明を進めている。
他に逮捕されたのは、川口市並木3丁目、職業不詳の男(26)、広島市東区戸坂くるめ木1丁目、職業不詳の男(24)ら。県警は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は共謀して昨年5月18日ごろ、越谷市大沢の一戸建て住宅を訪問し、女性=当時(77)=に対して別の会社名を名乗り「近くで工事をしており、通りかかったら屋根の一部が壊れている」「工事が必要だ」などとうその話をして、翌19日に再度訪問して修理の契約を結ばせ、代金約291万円をだまし取ろうとした疑い。女性は契約金を支払う前に「クーリングオフ」した。
同課によると、住宅への勧誘は最初に住宅を訪れて勧誘する「アポインター」と、その後に契約を結ばせる「クローザー」の2人組で行っていた。被害女性の住宅には24歳の男がアポインター役、26歳の男がクローザー役で、26歳の男は「ひさしの下が腐っている」「早く直さないと雨漏りする」などと話して契約を迫ったという。
県警は昨年7月、川口市並木元町にある営業拠点のマンションを捜索。契約書類やパソコンなどを押収していた。
■点検商法に注意 相談件数高止まり
県消費生活支援センターによると、同センターに寄せられた住宅屋根の訪問工事に関する相談は直近数年間で高止まりの状況が続いている。2023年度には前年度比295件増の1525件。19年度と比べると約3・3倍も増加している。24年度は暫定約千件で減少はしたものの、同センターは「深刻な状況は変わらない」と話す。
県内では、一戸建て住宅に住む高齢者からの相談が大半を占める。近年では屋根だけにとどまらず、住宅全体のリフォームなどを勧誘され、煩雑な工事で高額請求されるケースもあるという。
県警生活経済課は、雨季や台風の話題を出し、点検商法として不安をあおってくることもあるとして、被害に遭わないためにも契約をその場で決めず、家族に相談したり、複数の業者から見積もりを取ることを推奨する。
同センターは、訪問販売は契約日から8日間であれば「クーリングオフ」が可能であるとし、「おかしいと思ったら、各自治体にある消費生活支援センターや消費者ホットライン『188』に電話してほしい」と呼びかけている。










