埼玉新聞

 

大宮駅近くに驚きの“シェアハウス”誕生へ…5階建てのおしゃれな外観、3~5階がシェアハウス なんと賃貸収益で2階の“映画館”を運営 西口から徒歩5分 カフェも広がり、オープンを待ち望む人が続々

  • 住める映画館OttOの外観

    住める映画館OttOの外観

  • ミニシアターOttOのスクリーンの前に立つ今井健太さん=さいたま市大宮区桜木町

    ミニシアターOttOのスクリーンの前に立つ今井健太さん=さいたま市大宮区桜木町

  • 住める映画館OttOが誕生する「さいたま市大宮区桜木町1の345」の周辺地図(国土地理院HPより)

    住める映画館OttOが誕生する「さいたま市大宮区桜木町1の345」の周辺地図(国土地理院HPより)

  • 住める映画館OttOの外観
  • ミニシアターOttOのスクリーンの前に立つ今井健太さん=さいたま市大宮区桜木町
  • 住める映画館OttOが誕生する「さいたま市大宮区桜木町1の345」の周辺地図(国土地理院HPより)

 さいたま市大宮区桜木町に29日、ミニシアターがオープンする。かつて10カ所以上の映画館があった大宮。現在はシネマコンプレックス(複数スクリーンのある大型映画館=シネコン)2館が区内にあるが大宮駅前にはない。そこに誕生するのが、カフェやシェアハウスを併設した新しい形の映画館「OttO(オット)」。賃貸による安定した収益を確保するビジネスモデルは「住める映画館」として注目される。今井健太代表(56)は「地域の人が集い、大人も子どもも顔を合わせて元気になれる、楽しめる空間にしたい」と思いを込める。

■シェアハウス併設

 大宮駅西口から徒歩約5分、住宅街にある5階建てのおしゃれな外観。建物内に入ると、木のぬくもりが感じられるカフェスペースが広がる。バーカウンターと約35席が設営され、軽食や飲み物のほか、多彩な書籍や音楽も楽しめる。

 2階には53席のミニシアター。約220インチのスクリーンで、ドキュメンタリーなどシネコンとはひと味違う映画を上演する。四つのブース「ごろね席」やベビーカーも入れる親子ルーム(防音室)も完備。音楽ライブや講演会、貸し切り上映会にも対応していく。

 大きな特徴は、3~5階のシェアハウス。ワンルーム25室で女性専用フロアも用意されている。短期滞在から長期契約まで使い方も自由。共用のリビングはシアターと同じ2階にあり、まさに映画館で暮らす感覚だ。

■公民館のような

 空調設備会社を営む今井さんがミニシアター開設を企画したのは、2019年のこと。大宮駅周辺の区画整理事業の際、義父から所有する土地220平方メートルの活用について相談を受けた。住民の高齢化やコロナ禍で地域の交流が減っている状況を知り、「地域の人が出たり入ったりする公民館のような場所をつくりたい」と考えた。そして「古い映画も初めて見る人には新作。時間を巻き戻すような感覚もあり、さまざまな世代が楽しめる」映画館を造ろうと決めた。

 深谷シネマをはじめ各地のミニシアターや映画館関係者に会いに行き、検討を重ねた。客席数が少ないため、収益が限られるミニシアターの経営は難しい。そこで映画館を継続していくための仕組みとして、賃貸事業とのコラボレーションを考案。カフェや貸しスペースなどチケット代だけではない収益方法による経営維持も図る。「人の暮らしと経済活動があってこそ文化が回る」と今井さんは言う。館名「OttO」の由来は、長男千尋さん(12)から呼ばれている「おとう」。子どもにも親しみを感じてもらうためだ。

■待ち望む声

 「まだかまだかと楽しみにしているんです」。町内に住む平島怜子さん(77)は、建物を待ち遠しそうに見上げる。夫の輝清さん(76)と散歩をしながら、2人で眺めるのが日課になった平島さんは「食事に来ようねと友達とも話している」とほほ笑む。自治会を通じて開業準備を知らせたところ、こうした応援の声や見学する地域の人が増えた。

 オープニング上映作品は「ぼくが生きてる、ふたつの世界」(呉美保監督、吉沢亮さん主演)や坂本龍一さんのコンサート映画など4作品。

 26日にはプレオープンイベント特別上映会&ライブを開催する。チケット代は3500円。上映作品は「ブリング・ミンヨー・バック!」。本作に登場する「民謡クルセイダーズ」のミニライブも行う。

【メモ】OttO(さいたま市大宮区桜木町1の345) 開場は午前9時半。上映情報、料金などの問い合わせは、ホームページ、交流サイト(SNS)またはメール(otto.extend@gmail.com)で。
 

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