埼玉新聞

 

苦労する「空白の2年間」アパート契約などできない…児童養護施設を退所した18~20歳へ「継続支援を」

  • 社会的養護について話すコンパスナビ事務局の蟻田晴彦氏(右から2人目)と社会的養護経験者の(左から)山本昌子氏、ブローハン聡氏=県議会

 県議会の無所属県民会議は、虐待などで家族と生活できない18歳未満の児童を公的責任で養育する「社会的養護」に関する勉強会を県議会議事堂で開催し、県議や県庁、自治体職員ら53人が参加した。児童養護施設退所者らのアフターケア事業を県から委託する「コンパスナビ」の関係者が講演。児童養護施設出身者である同団体のブローハン聡氏、児童養護施設出身者の振り袖姿を撮影する「ACHAproject(アチャプロジェクト)」代表の山本昌子氏が経験を語った。

 同団体は社会的養護を経験した若者を対象に就職支援、運転免許取得支援などを行うほか、さいたま市浦和区に施設出身者の居場所となる「クローバーハウス」を運営している。事務局の蟻田晴彦氏は、社会的養護の実態や問題点などについて説明。18歳で施設を退所してから20歳までを、未成年のため自身のみでアパートの契約などができない「空白の2年間」とし、「施設や里親を巣立ってからも継続して支え続けることが必要」と強調した。

 ブローハン氏は「自分のことは自分でやってきたので、人の頼り方が分からなかった」と自身が施設を退所した当時を振り返り、当事者から相談があった際には「まず受け止めることを大事にし、本人が未来を選べるように、横にいるようにしている」と話した。

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