2022年5月8日(日)

駅を起点に観光名所へ 長年の懸案…埼玉・寄居駅南口の整備が年度内完了へ アクセスルートも相互通行に

寄居駅南口完成イメージ図。中央が観光案内や特産品販売など行う拠点施設(同町提供)

 寄居町が2018年度から5カ年計画で進めてきた中心市街地活性化事業の核となる「寄居駅南口駅前拠点施設」の起工式が4月21日に行われ、長年の懸案だった同駅南口整備が年度内に完了する。一方通行だった南口へのアクセスルート「中央通り線」も7月上旬には相互通行に整備される予定。寄居駅を起点に町内観光名所へのアクセスも向上し、町は駅周辺の活性化や観光振興につなげる考えだ。

■活性化の象徴に

 拠点施設は南口駅前に整備。敷地面積は449・167平方メートル、屋上もある木造2階建てで、延べ床面積は482・556平方メートル。1階が観光案内や移住定住相談、特産品の販売などになり、2階が多目的スペース。来春の開設を目指す。花輪利一郎町長は「拠点施設が立派に完成し、寄居町の活性化のシンボルにしたい」と話す。

 200メートルの中央通り線は西側の歩道を入れて幅16メートルで、電柱も地中化になる。拠点施設に隣接して広場も設置。さらに20メートル南には防災機能を兼ねた多目的広場も整備する。駅前広場には県内初となる環状交差点(ラウンドアバウト)を取り入れ、面積も広げた。

■50年来の悲願

 中心市街地は、北は寄居駅、東は玉淀駅、南は荒川、西は県道飯能寄居線に囲まれた66・6ヘクタール。140号バイパスができるまでは中心市街地の東西を横断する「本通り線」(県道菅谷寄居線)は秩父往還で、ぎわっていた。江戸時代には周辺で生産されたまきや炭、絹などを江戸まで運ぶ中継地点としても栄えた。明治時代以降は秩父鉄道や東武東上線、JR八高線の計3線が乗り入れ交通の要衝としても発展。

 しかし、1966年に5339人いた中心市街地の人口も次第に減り、21年は2353人に半減。小売事業者数も84年の207事業者から14年は90事業者になり、現在も本通り線はシャッターを下ろしている店が目立つ。

 特に駅南口の再開発は約50年前からさまざまな手法による整備案が示されてきたが、町単独では費用がかかり、地元住民からも合意が得られず、立ち消えになっていた。

 町は市街地の空洞化を解決するため国に相談してきた。市街地を活性化させ、にぎわいを取り戻す中心市街地活性化事業を提案され、駅南口整備が一気に進んだ。当時、全国で743町で初となる国からの認定で、総事業費24億円の約半分を国が補助する。

 50年来の悲願について、花輪町長は「多くの方々が長年住み慣れた土地や家を立ち退くという、理解と協力を頂いて成り立った」と話す。

■集客力の向上へ

 町は中心市街地に住み替えた世帯に新築は100万円、中古は50万円を補助。空き店舗を活用し店舗改装費として最大200万円の補助が受けられる助成金制度も設けている。この1年で中心市街地の人口が20人増えた。

 市街地の中町区長、村上雅光さん(65)は「人が集まれば、自然と店も増えてくる。集客力と回遊性も高めたい」と期待する。

 町内には景勝地の玉淀河原や鉢形城址(じょうし)など観光名所が数多く点在し、文豪の井伏鱒二や田山花袋、武者小路実篤、作曲家の佐々紅華らからも愛された土地柄だ。町は事業の一環として、県と共同で玉淀河原周辺の遊歩道や歌舞伎の名優・7代目松本幸四郎の別邸跡地に雀宮公園も整備。市街地が回遊できるように取り組んできた。

 町の担当者は「中央通り線の相互通行で、駅南口と玉淀河原が一直線で結ばれ、中心市街地の回遊もしやすくなる」と観光振興への効果を期待している。

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