2021年12月19日(日)

大宮の役目終えた図書館、新たな交流の場に 青果店やパン屋など段階的にオープン、観光情報の発信も

施設内ではコーヒーの提供なども行う=18日午後、さいたま市大宮区

 さいたま市大宮区高鼻町の旧市立大宮図書館を活用して民間事業者によるリノベーションが進められている複合施設「Bibli(ビブリ)」が、19日から段階的にオープンする。長年地域に親しまれ、一つの役目を終えた公共施設が、店舗やオフィス、イベントスペースなどを備える新たな拠点として生まれ変わる。

 ビブリは1階に店舗、2・3階にはオフィスが入居し、観光や地域ビジネスの活性化、情報発信拠点などの役割を担う。店舗はオーガニック青果店やコーヒースタンドを皮切りに1〜2月にかけてパン屋、かばん店などが順次オープンする。2階にはさいたま観光国際協会などが拠点を構え、観光情報の発信も行う。

 屋内外にイベントスペースを設け、屋外には休憩できるベンチなどを新たに設置。地域の交流や憩いの場として、また氷川神社や大宮公園への観光客が気軽に立ち寄れるスポットとして利用客を呼び込む考えだ。

■地元住民の声反映

 旧大宮図書館は1972年に建設。けやき並木が続く緑豊かな氷川参道二の鳥居前にたたずみ、約50年にわたり地域住民に親しまれてきた。

 2010年に市が駅周辺のまちづくりの方針をまとめた「大宮駅周辺地域戦略ビジョン」を策定。これにより、老朽化した公共施設の再編計画が進められ、大宮区役所と図書館が一体となった新施設が建設された。19年に移転し、旧大宮図書館はその役目を終えた。

 跡地利用については、市が「建物を残したい」という地元住民らの声を受け、解体せずに10年間民間事業者に貸し出すことで新たな交流の場として活用していく方針を固めた。

 市は20年8月、戸田建設関東支店を代表とする4社で構成するグループ「ОMIYA COMMON LIBRARY」を優先交渉権者に決定し、公民連携によるプロジェクトを開始。市都市局大宮駅東口まちづくり事務所の担当者は「民間の力が入ることで、市民のニーズに合った施設にしていきたい」と話す。

■さまざな可能性

 今回、地域貢献のためプロジェクトへの参画を決めたという戸田建設関東支店(同市浦和区)の出口広行開発営業部長は「公共施設を活用した取り組みは弊社として新たなチャレンジ。愛される施設にしていきたい」と力を込める。建物管理を担う戸田ビルパートナーズ、建築設計や施設運営を手掛けるキャンプサイト(東京都渋谷区)、自転車を通じた地域振興を進めるバイクロアと連携して、施設の運営に取り組む。

 キャンプ場などを運営するキャンプサイトの佐々木星さんは「建物も周りの参道の風景もすてきな場所。地域の人々に愛されてきたこともあり、さまざまな可能性があると感じた」という。施設名は本や図書館を意味する外国語から「ビブリ」に決定。建物の内外装も大きく変えることなく、かつての面影を残しつつ新たな魅力を取り入れた。佐々木さんは「図書館だった記憶を忘れずに、新たなつながりを生み出せれば」と思いを込める。

 さらに市内を拠点に自転車関連のイベントを開催するバイクロアを中心に、自転車を核としたコミュニティーづくりも展開する。大宮やその周辺を自転車で周遊する観光ツアーや子ども向けの自転車教室などのイベント、テナント店舗の商品を自転車で近隣住民に届けるデリバリーも企画。バイクロアの松原満作代表は「高齢者も多い地域。ただ商品を届けるだけではなく、コミュニケーションを取りながら地域に根付いていければ」と話している。

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