2020年2月25日(火)

施設が圧倒的に不足…介助必要な障害者の母親ら、県に支援求める 家族が高齢化、強まる将来への不安

障害児者の暮らしの場を考える会と県の懇談会=県議会議事堂

 介助が必要な障害者の母親や施設職員らが、県庁の県議会議事堂内で集まり、介護する家族の高齢化で強まる将来への不安や、「圧倒的に施設が不足」している埼玉県の実態を訴え、県の担当者に支援や努力を求めた。

 蓮田市の母親(67)は一緒に暮らすダウン症の息子(23)が近くの作業所に通う。食事、着替え、入浴、排せつの全てで支援が必要で、言葉は話せない。夜中にけいれん発作や股関節脱臼をしやすいが、朝まで脱臼の痛みを我慢していたこともあった。母親は気を抜けない毎日だ。

 「親が介護できなくなった後の生活を保障するためにも、入所施設という暮らしの場がどうしても必要だと思う。専門知識を持った職員がいて、広い建物、働く場があり、地域とつながる施設は大きな支援の力になる」

 母親は「息子はおそらく(結婚などで)自分の家族は持てないだろう。しかし(施設は)仕事が終わったら早く帰ってきたい、みんなに会いたいと思える楽しい場所だとしたら、そこは第二の家庭で、家族と呼べる。その時、自立を喜び、ずっと握り締めてきた息子の手をそっと放してあげられる」と話した。

 県南部で障害者の相談センター職員の男性(63)は入所できる施設を探して関東近県を車で回る。首都圏より遠い地域の方が空きがある可能性があるからだ。男性は「京都や大阪の都市では独自予算で入所施設を開設している。国への要望も大事だが、県でできることも考えてほしい。五輪の予算の10%でもこっちへ回してくれたら」と話した。

 2019年4月、川口市内で福祉団体が経営する入所施設が開所したが、40人の定員に対し希望者は207人もいた。10億円の総事業費のうち国と県の補助は3億円で、あとは自力で用意した。

 全国障害児者の暮らしの場を考える会の会長新井たかねさん(73)=川口市=は、娘(47)が市内の入所施設で暮らす。

 新井さんは「昨年開所した川口の施設で、入れなかった人の見学を案内したが胸が痛んだ。母は78歳、息子は51歳。母の体重は38キロ、息子は60キロ。母が介助しながら一緒に暮らしている」と話す。

 新井さんは今、全国の家族介護者の実態調査をしている。親が病気で倒れたり亡くなった時にどうなるのかという不安をみな訴える。回答の中に「親子心中を考えている」「尊厳死を認めてほしい」という意見があった。「事態は緊迫しています」と新井さんは言った。

 埼玉障害児者の暮らしを考える会(足立早苗会長)が主催し、母親ら約40人と県側の担当者が参加した。

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