2020年2月24日(月)

阪神・原口文仁選手、母校で道徳授業に 教材を教諭が手作り がん乗り越え、勇気与える姿取り上げる

原口文仁選手の強い意志がつづられている道徳の教材

 昨年「ステージ3」の大腸がんの手術からリハビリを経て復帰し、今季も活躍が期待されるプロ野球セ・リーグ阪神タイガースの原口文仁選手(27)が、母校の埼玉県寄居町立城南中学校(関根光男校長、生徒数156人)の道徳授業で取り上げられ、後輩たちに勇気や元気を与えるとともに、「人は一人では生きていけない」というメッセージを伝えている。生徒たちは、がんを乗り越え、元気いっぱいのプレーをする先輩・原口選手に「これからも頑張って活躍してほしい」とエールを送っている。

■全生徒に道徳授業

 昨年12月、1〜3年生までの全学年全クラスの道徳授業にA4サイズ用紙3枚つづりの手作りの教材が配布された。タイトルは「前だけを向いて 原口文仁 癌(がん)を乗り越えて」。教材には、医師から大腸がんであることを告げられ、頭が真っ白になったと同時に現実感を伴って死が迫り、「なぜ、僕が…。僕は野球を続けられるのか…。生きていけるのだろうか」という当時の原口選手の不安な気持ちを率直に伝えている。

 それでも阪神の矢野耀大監督の「フミ(原口文仁選手)がもう一度、タイガースのユニホームを着てファンに喜ばれるような姿を、俺は楽しみに待っている」との励ましに勇気を奮い立たせ、手術を受け、プロ野球選手として再びグラウンドに立つことを決意。苦しいリハビリの時に多くのファンから応援のメッセージをもらい、「人間は、一人では生きていけない。同じがんの患者の方々、家族の夢や希望となりたい」という思いを持ち、代打で復帰した6月4日のロッテ戦でタイムリー二塁打を放ったことをつづっている。

■勇気を与える

 原口選手は、小学4年生から野球を始め、城南中時代は寄居リトルシニア(現・深谷彩北リトルシニア)に所属。帝京高(東京)からドラフト6位で2010年に阪神に入団。7年目にレギュラーとなり、勝負強い打撃で18年は代打で23安打を放ち、代打のシーズン最多安打の球団記録に並んだ。しかし、プロ10年目の昨年1月に球団を通じ、人間ドックで大腸がんと診断されたことを発表した。

 新聞やテレビで原口選手の雄姿を目にしていた関根光男校長(59)は「生徒たちに素晴らしい先輩がいることを知ってもらいたいと考えていた」と語る。特に大腸がんを乗り越えてから、その思いを強くした。同校の道徳主任を務める木村洋介教諭(28)に相談し、道徳教材の作成に取り掛かった。

 木村教諭は、新聞記事や動画などで情報を集め、原口選手を知るにつれて、「自分に置き換えて考えると不安しかないと思う。だが、原口選手は前だけを見ていて、がんを克服して再びプレーするんだという強い意志を持っている人。生徒にも原口選手の強い意志を伝えたかった」と狙いを話す。授業を受けた原口選手の所属した深谷彩北リトルシニアでプレーしている加藤雅大君(13)は「病気を乗り越えてすごい選手だなと思った。自分も頑張らないといけないと勇気づけられた。原口選手は憧れの選手。これからも活躍してほしい」と話した。

 授業の後には、原口選手の講演会も実現した。道徳教材に取り上げられたことを知った原口選手は「ありがたいことです」と笑顔で語っていたという。講演会では「自分がやるべきことをやるだけ。何でもいいから目標を一つ持って一生懸命取り組んでほしい」と語り掛けた。

■患者、家族の希望

 大腸がんを乗り越えてプレーする姿が勇気を与えたとして、原口選手は昨季セ・リーグの特別賞を受賞。今年1月にはがん患者支援団体への寄付や研究費に充てられるチャリティーマラソンに参加するなど、グラウンド内外で「がん患者や家族の夢や希望になりたい」という思いを実践している。関根校長は「これからも教材を使用して、原口選手の強い意志を伝えていきたい」と話している。

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