埼玉新聞

 

口に筆くわえ、メッセージのある平仮名で漢字描く 難病のアーティスト、埼玉会館で企画展 16日まで

  • 「色色だるま」を背に作品を紹介する浦上さん

  • 「福」の字を書き順に沿ってよく見ると「ふつうのこと」が平仮名で描かれている

 進行性の難病を持ち漢字一画一画をメッセージのある平仮名で描く春日部市の浦上秀樹さん(48)が16日まで、さいたま市浦和区の埼玉会館で「こころMoji展 色色だるま」を開催している。15日休館、入場無料。

 「福」の字を書き順どおりに読み進めると「ふつうのこと」という平仮名が浮かび上がる。作品には「普段通りの暮らしがおくれることは“運がいいこと”、それに気づくと“幸運”になります」と解説が添えられている。

 浦上さんは21歳の時、筋肉が減少する進行性の難病遠位型ミオパチーを発症した。現在、首から下の体が動かず、車いすで生活を送っている。

 2010年、口に筆をくわえ「こころMoji」アーティストとして活動を始めた。作品に込められたメッセージ性、オリジナル性が人気を集めた。毎年県内外で企画展を開催。活動はメディアに取り上げられ、浦上さんの作品は道徳の教材に使われるなど、活躍の場が広がっている。

 企画展では、ダルマに「こころMoji」を描いた「色色だるま」54作品はじめ計約90点を展示。「色色だるま」は、色は個性、ダルマは「七転八起」を、またどのような苦境にあってもチャレンジする姿勢を表現した。

 浦上さんは「お互いの個性を認め分かち合い、楽しい生活を送りたい。コロナ禍で、大変な方もダルマのように起き上がり、困難を乗り越えて行けるようにと願った」と作品への思いを語る。

 新型コロナ感染拡大の影響で、浦上さんの企画展は1年半ぶり。パラアスリートの活躍による興奮冷めやらぬ中、障害を持つ人々の個性を大切にする浦上さんの活動を紹介したいとする会館の意向が合致した。

 企画展は閉幕した東京パラリンピック、パラアスリートにも思いを寄せた。会場では国際パラリンピック委員会メディアスタッフで障害者スポーツを長年撮影してきた写真家清水一二さんとのコラボ作品を展示。清水さんが撮影したパラアスリートの躍動感みなぎる写真と浦上さんの心温まる「こころMoji」を組み合わせた作品が並ぶ。

 浦上さんは11、12、14、16日いずれも午後2時から、会場で、作品を描くパフォーマンスを実施する。

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