埼玉新聞

 

<川口いじめ>被害の関連記録に間違い…市教委、不訂正を決定 元生徒男性、訂正求め埼玉・川口市を提訴

  • 川口市役所=埼玉県川口市青木

 川口市立中学校に在学中のクラブ活動でいじめ被害に遭った元生徒男性(18)が21日、情報開示請求で開示された市教委の文書について「明らかな間違いがあるのに訂正しないのは非常識で不当だ」として、文書を開示した市教委に文書の訂正を求め、さいたま地裁に提訴した。

 市教委は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

 元生徒は文書に、いじめ加害者の氏名や日時などで「明らかな誤りがある」として今年1月に訂正請求を行ったが、市教委は3月に「不訂正決定」を回答。元生徒は裁判で不訂正決定の取り消しを求める。

 元生徒は中学在学中にクラブ活動のいじめが原因で不登校になったのは市や学校の対応が不適切だったためだとして、2018年6月に市を相手に損害賠償裁判を起こし係争中。

 元生徒は18年1月に自分のいじめ被害について知りたいとして、市教委に関連記録の開示を請求。市が大部分の開示に応じなかったため元生徒は19年1月に開示を求めて提訴。この裁判は20年10月の判決で市に義務違反や原告に対する損害があったとされ市が敗訴。

 この判決を待たずに市教委は19年5月に関連文書を開示。原告は多数の誤りがあるとして今年1月訂正を請求したが、市教委は3月に不訂正を決定。「文書作成当時の認識を記載したものであり訂正しない」などとしていた。

 提訴の後、原告の母でNPOプロテクト・チルドレン代表の森田志歩さんは「昨年10月の敗訴で市長は『今後は情報開示は丁寧な対応をしていく』と記者会見で語っていた。市教委は教育を語る以前に常識を学んでいただきたい」と話した。

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