埼玉新聞

 

数十年に一度咲くリュウゼツラン、さいたまの高齢者施設で開花が間近に 入居者ら待ちわびる幻の花

  • 開花が間近なリュウゼツラン=6月21日

  • 茎が伸び始めたリュウゼツラン=5月4日、いずれもさいたま市中央区の「まどか南与野」(大束美希さん提供)

 さいたま市中央区の有料老人ホーム「まどか南与野」の中庭で、数十年に一度しか花が咲かないとされるリュウゼツラン(竜舌蘭)の開花が間近に迫っている。新型コロナウイルスの感染防止のため、家族との面会が少なくなる中、入居者や職員は「明るいニュース」と話し、幻の花が咲くのを待ちわびている。

 同施設のケアマネジャー大束美希さん(46)によると、リュウゼツランは7年前に施設が完成する前から、中庭に植えられていた。施設建設のために、数本を切る必要があり、土地建物の所有者が「皆さんが観賞できるように」と1本だけ残したという。

 4月末から茎がぐんぐん伸び始め、3メートル以上に成長。職員らはこれまで咲いた花を見たことがなかったため、ホームページで調べるなどして観察を続けている。入居者は中庭に出たり、個室の部屋から観賞して、「昨日より大きくなったよ」「すごいね」と、職員らに話しているという。

 コロナの感染防止のため、入居者は外出の機会や家族との面会が少なくなっている。大束さんは「コロナ禍でのストレスがある中、明るいニュースで、入居者の皆さんは日々、花が咲くのを楽しみに成長を見守っている」と話していた。

 さいたま市園芸植物園などによると、リュウゼツランはメキシコ原産の多肉植物で、夏に花を咲かせる。100種類以上あるとされ、10年から50年以上かけて開花して、一度しか花を咲かせない種類もあるという。テキーラの原料としても知られ、日本には観賞用で輸入されている。

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