埼玉新聞

 

ダサい…いじられる埼玉県から、日本一のうどん県に うどん文化で行ってみたい県へ ついでに観光も

  • 自家製うどん もりたの「幸手うどん」を前に笑顔がこぼれる永谷晶久さん。サクラエビの風味と豆乳を使ったまろやかなだしがたまらない=幸手市緑台

 「埼玉を日本一の『うどん県』にする会」会長の永谷晶久さん(40)は、あふれる埼玉愛で、埼玉の多彩なうどん文化を発信している。うどんを切っ掛けに「『ダサい』といじられる県から、『行ってみたい県』へと変わる瞬間に立ち会いたい」と力強く語る。

 千葉県松戸市に生まれ、12歳で入間市に転居。現在は都内の会社に勤務する。20代後半で、寂れつつある地元の商店街を元気にしたいと、地域おこしに興味を持ったのが始まり。街コンなどに関わったがピンとこなかった。

 そんな時、テレビ番組で「埼玉がうどん生産量全国2位」と知り、ひらめいた。「埼玉県民が1カ月にうどんを今より2杯多く食べれば全国1位になれる!」。埼玉の人口の多さを生かせば、「うどん県」の香川県を上回ることができると考えた。

 しかも埼玉は小麦の生産地で、昔から地域ごとに多様なうどんが食べられてきた。加須うどん、武蔵野うどん、煮ぼうとうなど20種類以上。中には幅広の麺の川幅うどんのような新顔も。一つの定義に収まらず、多彩なうどんが同居しているのが「埼玉うどん」の特徴だ。「それって埼玉の県民性にも通じる。独自の文化を大事にしつつ、新しく入ってくる人や新しいものを邪険にしない」

 埼玉うどんの魅力をネットで発信するうちに農家やうどん店、自治体などで協力者が増えてきた。うどん関係のイベントにも協力し、昨年7月にはTBSテレビ「マツコの知らない世界」で埼玉うどんを熱く語った。「県内に新しいうどん店が増えてきた。しかも現代風にアレンジするなど、新旧のうどん文化が融合している。少しは貢献できたかなと陰で喜んでいる」

 コロナ禍の現在、飲食業界の苦境に胸を痛める。災いが過ぎ去った後に、県内各地のうどんが一堂に会する「埼玉うどんサミット」を開催しようと奔走中。「サミットでうどんを食べれば、次はその地元に行ってうどんが食べたくなる。ついでに観光もしてもらえる」。うどんで地域に元気を取り戻す。

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