埼玉新聞

 

ブラック会社から逃げ出した相談員も活動 若い世代も路上生活に…さいたま市、生活困窮者に臨時の相談窓口

  • さいたま市が開設した臨時福祉相談窓口の相談室=3日午前、大宮区役所

 新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮している人を対象に、さいたま市は3日、大宮区役所に臨時福祉相談窓口を開設した。市生活福祉課によると、午前10時~午後4時に、メール1件を含め6人の相談を受け付け、生活保護制度や住居確保給付金などの支援策を説明した。

 市は宿泊場所の提供を通年で行っており、4月30日までに3件の申請があった。食料品は3日分のアルファ米や缶詰、飲料水など20人分を用意。相談に訪れた人のうち2人が持ち帰ったという。

 この日は、生活困窮者を支援しているNPO法人「ほっとプラス」(さいたま市)の生活相談員小原秀之さん(47)が訪れ、宿泊施設の空きを確認していた。小原さんによると、2日夜に大宮駅周辺の夜回り活動をして、路上生活をしていた中年男性に声を掛けた。連休中は市の用意した宿泊施設に入ってもらおうと、一緒に窓口に行く約束をしていたが、声を掛けた場所からいなくなっていたという。

 小原さん自身も路上生活に陥るところまで生活が困窮していた。長時間労働を強いるブラック会社から逃げ出し、ネットカフェ暮らしをするなどして、ほっとプラスの支援を受けた。生活保護を受けながら職を見つけて生活を立て直し、ほっとプラスから誘われて、今年3月から生活相談員をしている。

 コロナの影響からか、路上生活をしている人は高齢者ばかりでなく、40代など若い世代も目立つという。小原さんは「自分も経験しているので気持ちを理解している。体調を崩す前に支援につなげたい」と話していた。

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