埼玉新聞

 

<新型コロナ>高齢者へのワクチン接種、埼玉30市町村で4月下旬開始 一般向け接種は53市町が未定

  • 埼玉県内自治体ワクチン接種開始予定

 4月から段階的に始まる予定の新型コロナウイルスのワクチン接種について、65歳以上の高齢者への接種が埼玉県内63市町村のうち30市町村が来月下旬からの開始を予定または目標にしていることが、埼玉新聞社のアンケートで分かった。ただ一般への接種の開始は見通せず、53市町が未定としている。最初は供給量が限られており、「国からの情報提供が少ない」「供給のスケジュールを早く示し、分配の基準も明確にしてほしい」「準備が進められない」など、自治体からは安定供給を求めるとともに、ワクチン接種の実施に不安や懸念の声が上がっている。

 ワクチン接種は特定の医療従事者から2月中旬に先行して始まった。医療従事者らに続き、65歳以上の高齢者、基礎疾患がある64歳以下の人と高齢者施設従事者、それら以外の住民(当面は16歳以上)へと拡大されていく予定だ。

 高齢者への接種では30市町村が4月下旬の接種開始を予定、目標にしていると回答。5月上旬は12市町、中旬が7市町で、55市町村で5月中までに接種を開始することが見込まれている。一方、6月以降または未定との回答も8市町あった。

 県によると、優先接種の対象となる県内の65歳以上の高齢者は約193万6千人。米ファイザー社製ワクチンが使用される予定で、接種費用は全額、国が負担する。

 県は高齢者向けワクチンについて、4月第2週にさいたま市から、県内に分配すると発表している。4月第3週は川口市、和光市、本庄市、戸田市、寄居町、第4週にはふじみ野市、川越市、三郷市、所沢市、毛呂山町にそれぞれ975人分が配布される予定。分配量が限定的であることから、県は本格的接種が開始される前の試行的接種として活用してほしいとしている。4月第2週に分配されるさいたま市では、高齢者施設の入所、入居者を優先する方針を示している。

 一般向け接種については63市町村中53市町が「未定」と回答。国からのワクチン供給計画が未定なため、計画に反映させることができない状況が続いている。

 アンケートでは国に対し、「方針を示すのが遅く、一度決めた方針も頻繁に変わるため、準備が進められない」や「分配の基準が示されず、住民に情報を提供できない。住民からの予約を受けることができない」「供給量、時期が具体的、明確でないと、実施計画を立てられない」といった戸惑いの声が多かった。

 県は22日の緊急事態宣言解除に当たり、国に対し、ワクチンの確保および都道府県への配分スケジュールの提示、副反応などへの情報提供や対策支援を求めていくとしている。

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