埼玉新聞

 

限られた残りの人生、世の中のために 感動フルマラソン企画の発起人男性が新企画 難病患者や障害者を支援

  • 第1走者の楠田さん(右)が次の車いすランナーへバトンをつなぐ=2月21日午前9時半、さいたま市南区

 市民ランナーらがフルマラソンを2020日間走り続ける企画「チャレンジ2020」の発起人で、埼玉県さいたま市南区の楠田昭徳さん(77)が、2月21日から新たな挑戦を始めている。全国各地でランナーがリレーマラソンを自主運営で行い、そこで集めた会費を、難病や障害を抱える人への支援に充てる「Run Dreams」(ランドリームズ)だ。楠田さんは「誰もが自由に生活できる社会の実現へ、マラソンを通じて力になりたい」と話している。

 ランドリームズは1チーム4人以上で参加するリレーマラソンで、前回の「チャレンジ2020」の全国拡大版。ホームページ上でランナーを募り、参加者は各地それぞれで、自主運営によるフルマラソンを実施。集めた会費(4人1万円)の一部を、難病患者や知的障害スポーツへの支援に充てる。楠田さんと一般社団法人日本伴走家協会の磯野茂氏(50)が共同代表を務める。

 前回の「チャレンジ2020」は、2015年1月2日から20年7月13日まで2020日間、約1万人が別所沼公園(さいたま市南区)を毎日走った。この間の走行距離は約8万5千キロ、地球の外周(約4万キロ)2周以上の計算となる。

 楠田さんの親友で、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を宣告され車いす生活を送る江村俊彦さん(61)が最終ランナーを務め、公園の周回コース(923メートル)を約50分かけて進み、大きな拍手の中で感動のゴールを迎えた。

 挑戦を続けるうちに楠田さんは、難病や障害を抱える人を支援したい気持ちが芽生えてきたという。「死にひたすら向かう難病と闘っている人も数多くいる。仲間や友人に支えられ幸せな人生を過ごしてきたが、限られた残りの人生で世の中のためになる活動をしたい」

 新たな挑戦となった初日、別所沼公園には難病や障害を抱えるランナーら約50人が集結した。午前9時すぎ、第1走者の楠田さんが大きな拍手の中でスタート。力強く夢への一歩を踏み出した。

 当面は同公園を拠点に近県ランナーのみで行い、参加者を募りながら徐々に全国各地での開催を目指す。また集めた会費はスポーツ後進国のアスリート支援としても予定している。

 楠田さんは「難病や障害者など、チャレンジ2020での多く人との出会いが、今回の挑戦への力となった。走ることでつながる支援の輪を、日本だけでなく世界へも広げていきたい」と話している。

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