埼玉新聞

 

部下思いの課長逮捕なぜ…同級生の会社に便宜 羽生市から3年間で7件委託 地元に詳しく企業選定の権限も

  • 事件を受け陳謝する(右から)まちづくり部の阿部幸夫部長、河田晃明市長、宇都木一男総務部長=12日午後3時ごろ、ワークヒルズ羽生

  • 53歳経営者が経営する「クリーン・テック」の外観=12日、羽生市須影

 埼玉県羽生市発注の業務委託を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された男(53)が羽生市まちづくり部建設課課長に就任した3年間に、同市が贈賄容疑で逮捕された53歳経営者の「クリーン・テック」と7件の業務委託契約を結んでいたことが12日、分かった。同市は同日、記者会見を開き、河田晃明市長が「行政に対する信頼を大きく失墜させたことを心からおわびします」と幹部らとともに陳謝した。

 同市によると、課長は1991年4月に土木技師として採用。2018年4月からは、まちづくり部建設課課長を務め、市が50万円以下の小規模契約業務を委託する際、見積もりを提出する企業選定の権限を有していた。地元の企業に詳しく、より低い金額で業務を請け負ってくれる企業や繁忙期でも対応してくれる企業など、選定の際に課長自ら地元の会社を提案することもあったという。

 提出された見積書は、マニュアルなどに従って確認され、部長職が決裁。今回、課長が便宜を図ったとされる昨年2月と6月の雑草刈払業務と側溝の清掃業務については、それぞれ計3社が見積もりを提出し、最低価格だった「クリーン・テック」に委託していた。同社は市から2010~20年に計24件、約694万円の業務を受注していたという。

 阿部幸夫まちづくり部長によると、課長は「現場主義で部下思い」。部下を連れて率先して現場を確認しに行くなど、勤務態度にも問題はなかったという。

 事件を受けて同市は「契約や入札方法などを検証して必要な改正を行うとともに、全職員を対象としたコンプライアンス研修など、直ちに体制整備をしていく」としている。

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