埼玉新聞

 

東上線・鶴瀬駅前の駐輪場を撤去 富士見市が行政代執行 居住男性「3軒の土地増え、私だけ減少は不合理」

  • 行政代執行に基づき、鶴瀬駅西口土地区画整理事業用地のフェンスに囲まれた駐輪場の撤去作業をする業者=15日午前11時半ごろ、富士見市鶴馬

 東武東上線鶴瀬駅西口(埼玉県富士見市鶴馬)の土地区画整理事業を巡り、富士見市は14日、「長年にわたる交渉で移転の手続きが進まず、事業に大きな影響を及ぼす」として、行政代執行法などに基づき、同区域内の駐輪場を撤去する行政代執行を開始した。撤去作業は27日までに完了する予定。

 撤去するのは、同所に居住する男性(69)が経営する駐輪場の一部(縦約3・5メートル、横19・5メートル)で、同所の駐輪器具と片屋根式カーポート、ネットフェンス、アスファルト舗装など。14日は測量と器具を確認し、15日は駐輪器具やカーポートなどの撤去作業を実施した。

 同区画整理事業の対象地域は同駅西口駅前の約22・5ヘクタール。事業費約136億円を投入し、建物503棟のうち361棟を移転、駅前広場(約4200平方メートル)や都市計画道路などを建設する。施行は1992年度から2019年度で、17年度末に建物移転など99%以上が完了している。

 市は男性と95年度から交渉を開始。鶴瀬駅西口整備事務所は「文書や面談により、換地基準に基づいて減歩率などの説明を続けているが、理解を得られない」としている。

 これに対し、男性は「自宅前の道路の拡幅を目的に自宅側の道路だけを広げるため、向かいの民家など3軒の土地が増え、私の土地だけが減少するのは不合理で理屈に合わず、市からの回答はない」と反発。12日付で、市の行政代執行の停止を求める訴訟を起こしたという。

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