埼玉新聞

 

原因は「乱雑な収蔵」「希薄な意識」…川越市立博物館の文化財紛失、市教委が報告書 資料は現在も所在不明

  • 二十四ポンド長銅筒五分一図(小川家文書)=提供

    二十四ポンド長銅筒五分一図(小川家文書)=提供

  • 二十四ポンド長銅筒五分一図(小川家文書)=提供

 埼玉県川越市立博物館に寄託されていた市指定文化財「小川家文書」のうち、「二十四ポンド長銅筒五分一之図」がなくなった問題で、市教育委員会教育総務課は調査報告書を2月にまとめ、8日公表した。報告書は市ホームページに掲載される。

 資料は幕末、川越藩が幕府からお台場警備を命じられた時に発注された洋式銃砲の図面。博物館は2004年に寄託を受けたが、18年5月に所在不明が分かったことを23年2月に発表した。資料は現在も見つかっていない。

 調査は教育総務課長ら同課職員3人で実施。04年度から18年度までの間、館長や学芸担当として博物館に勤務した計16人に聞き取った。報告書は、資料の乱雑な収蔵状況や専門分野以外の資料に対する希薄な意識などが紛失の原因になったと指摘している。

 博物館では発覚後、資料管理マニュアルを新たに作成し、業務の見直しを図ったという。報告書はさらなる改善のため、外部機関によるチェックなど、客観的に資料の管理状況を把握できる仕組み作りの必要性も挙げた。

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