埼玉新聞

 

災害で大量発生する廃棄物の受け入れも 東武商事、松伏と吉川にリサイクル施設 環境にも配慮、4月稼働へ

  • 微生物による廃液浄化処理設備を導入した松伏スマート・リサイクル・システムズ

  • 汚泥などをセメント固化する吉川スマート・リサイクル・システムズ

 東武商事(吉川市)は9日、吉川市と松伏町にまたがる東埼玉テクノポリス工業団地に産業廃棄物のリサイクル施設「松伏スマート・リサイクル・システムズ」、「吉川スマート・リサイクル・システムズ」の両施設を竣工(しゅんこう)する。4月に稼働予定。総投資額は約70億円。県内初という微生物による廃液浄化処理設備を導入したほか、最新機器などにより処理能力を大幅に増強。今後のリサイクル需要も取り込み、既存顧客との取引拡大や新規顧客の獲得につなげる。

 小林信幸副社長は「お客さまの声やニーズに応える形で廃棄物の収集から処理、リサイクルと事業を拡大してきた。新たな施設でお客さまのニーズにさらに応えていきたい」と話す。

 松伏スマート・リサイクル・システムズは敷地面積約8500平方メートル、延べ床面積約5370平方メートルの処理リサイクル棟と約145平方メートルの分析棟、8階建ての事務棟などからなっている。

 リサイクル棟では全国的にも少ないという生物処理を実施する。生物処理の1日当たりの処理能力は300立方メートル。廃油の油水分離処理は1日当たり従来の約19倍となる540立方メートル。廃酸、廃アルカリの中和処理は約7倍の400立方メートル。廃プラスチックなどの破砕・圧縮設備も新たに導入した。最新の脱臭装置を完備し、環境にも配慮している。

 分析棟では蛍光エックス線分析装置などにより高度で精密な分析が可能となり、より資源化できる態勢を整えた。研究開発チームにより「一歩先をいく再資源化を早い段階で具現化したい」(小林副社長)。

 事務所棟には吉川事業本部から本部機能を移す。大中小の会議や研修ができる会議室を開設。従業員がリラックスできるくつろぎの部屋やラウンジなども設けており、働きやすさと生産性の向上につなげる。

 吉川スマート・リサイクル・システムズは既存の吉川リサイクルセンターの敷地内に増築した。延べ床面積は約1363平方メートル。汚泥などのセメント固化や廃油の油水分離などを完備した。汚泥などの1日当たりのセメント固化処理能力は約5倍の216立方メートル。

 リサイクル施設には関東圏内最大級の保管施設も備えている。緊急時や自然災害で大量に発生する廃棄物の受け入れにも対応する。

 同社は1970年10月に創業。廃棄物の収集から、処理、リサイクルまで一貫して手掛ける。栃木県に「那須総合リサイクルセンター」を開設している。従業員は189人。2018年6月期の売上高は約45億円。

ツイート シェア シェア