埼玉新聞

 

ドングリのじゅうたんのよう…川口・上谷沼の林でドングリ豊作 市民団体が要望、剪定作業やめる

  • ドングリ豊作に喜ぶ(左から)太田威さん、加山孝さん、貴家章子さん=12日、川口市の上谷沼調節池

  • 以前の剪定した後の林の姿。木々は丸坊主になっていた(貴家さん提供)

 川口市とさいたま市の境界に位置する上谷沼調節池(上谷沼運動広場)の入り口の林でドングリが豊作になっている。約40本の木から成る小さな林だが、その中にクヌギ6本のほかにコナラ、シラカシなどがある。クヌギのドングリは大粒で見事な実。下の地面はまるでドングリのじゅうたんのようだ。市民団体の要望を受けて市が木々を丸坊主にする剪定(せんてい)をやめた成果という。

■要望かなう

 要望した市民団体は、さいたま市や川口市の市民でつくる「ふるさと上谷沼・地域創造塾」。上谷沼調節池でオオヨシキリの保護・観察や外来植物の除去など自然保護活動に取り組んでいる。

 公園入り口の林は、市による剪定作業が毎年秋に行われてきた。街路樹の剪定と同じように、木はほぼ丸坊主状態に刈り込まれていた。これだと落ち葉は出ないが、ドングリも実らなかった。

 「私たちは、強く刈り込む剪定ではなくて、自然に近い状態にしてほしい、と要望してきた」と同団体代表の貴家(さすが)章子さん。要望は最初は取り上げてもらえなかったものの、2018年に市公園課が要望を受け入れる形で剪定作業をやめた。

 翌19年の秋は落ち葉だけがどっさり出たがドングリは実らなかった。「それが、今年初めてドングリが実った。それも大豊作。とてもうれしい」と貴家さんらは喜ぶ。

■落ち葉を堆肥に

 一方で落ち葉が大量に出るという課題も発生した。貴家さんらは「落ち葉をどうするか、解決方法も市民が知恵と力を出し合って考えていきたい」と話す。

 昨年から貴家さんらが取り組んでいるのが、落ち葉や枝で堆肥作りをすること。長年、県内の中学校で理科を教えてきた加山孝さん(67)は「カブトムシが暮らせる雑木林を再生したいですね」。元会社員の太田威さん(78)は「子どもたちがドングリでこまを作ったり夢中になる姿を見たい」と話す。

 貴家さんは「大量の落ち葉が運動広場の管理人さんたちの負担になっているので、この解決が次の課題。いろんなことを市民がみんなで解決することを考えたい。そういう意味で、今年は元年です」と話している。

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