埼玉新聞

 

用水路に身動きできない男性が…浦和学院の生徒4人、連携し救助「滑りやすく必死だった」 消防署が表彰

  • 男性を救助し、表彰状を渡された浦和学院の男子生徒4人(前列)=2日午後、さいたま市緑区

 用水路に落ちて身動きできなくなった60代男性を連携して救助したとして、地元の浦和学院高校の3年生4人が2日、さいたま市緑消防署から表彰された。帰宅途中に発見、水に浸かり枝にしがみついていた男性を助け出した。4人は「当たり前のことをしただけ。これからの人生でも困っている人がいたら積極的に助けていきたい」と話した。

 表彰状を渡されたのは、津雪アンドリューさん(17)、梶村光太郎さん(18)、赤羽祥太朗さん(17)、斎藤廣海さん(17)の4人。

 緑消防署によると、4人は9月29日午後6時10分ごろ、緑区南部領辻の用水路に落ちた60代男性を発見。4人は進学コースの仲間で、自転車で帰宅途中だった。男性は散歩途中に足を滑らせて用水路に落ちて腰まで水に浸かり、流されないよう必死に枝にしがみついていたという。

 辺りは日も落ちて暗い時間。「木陰からガサガサと音がして、初めは動物でもいるのかと思った」と津雪さん。用水路をのぞいて男性を発見し、急いで赤羽さんが警察に通報。残りの3人が連携し、男性の腕をつかんで引きずり出した。「用水路が滑りやすく、とにかく必死だった」と3人は振り返る。

 男性は市内の医療機関に搬送されたが軽傷で、当日中に帰宅したという。斎藤さんは「助かったと聞いて安心した」。梶村さんは「表彰されるほどの出来事になるとは思わなかったが、大きな自信になった」と笑顔。

 4人の迅速な行動に、長江照夫消防署長は「発見が遅かったら体温低下など命の危険も考えられた。素直な心を持った4人の勇気ある行動に感謝します」と話し、表彰状を手渡した。

 同校の石原正規校長は「これからも目の前の出来事を見過ごさず、自分に何ができるか考えて行動してほしい」と4人へ力強くエールを送った。

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