埼玉新聞

 

故意に倒したか…東松山・不動明王の化身、破壊される 市の指定文化財、頭部がかけらもなく

  • 破壊され頭部のない倶利伽羅不動尊=3日午後、東松山市上野本

  • 本来の倶利伽羅不動尊(東松山市埋蔵文化財センター提供)

 東松山市上野本の不動沼のほとりにあるお堂に安置されていた市指定文化財の「倶利伽羅(くりから)不動尊」が破壊され、頭部が欠損、行方が分からなくなっていることが分かった。

 倶利伽羅不動尊は、躍動する胴体を持った黒竜が剣にからみ剣先から飲み込もうとする姿の石像で高さ90センチ、幅33センチ、厚さ22センチ。倶利伽羅はインドの伝承の竜王のことで不動明王の化身とされている。

 造像された年代は不明だが、江戸時代の作で、「水神様」として建立されたものと推定されている。1963年2月18日、市の指定文化財に登録されている。

 破壊が判明したのは4月下旬。地元住民が朝に訪れ、石像が倒されているのを見つけた。連絡を受けた、市埋蔵文化財センターが調べたところ、地震や自然に倒れたのではなく「何者かが故意に倒したもの」と考えている。頭部のかけらもなく、持ち去られていたことが分かった。

 市埋蔵文化財センターでは「文化財の破壊は、文化財保護法の明確な違反行為です。何よりも信仰の対象として、地元の多くの人たちが、守り続けてきたものを破壊することは到底許されない」と話している。すでに東松山署に被害届を出している。

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