埼玉新聞

 

【動画】10回目の10月、願いと感謝のせて…「あの花龍勢」秩父の空へ めんま役・茅野さんが口上、「最後」に涙も

  • あの花龍勢関係者らに感謝の気持ちを伝える茅野愛衣さん(中央)

    あの花龍勢関係者らに感謝の気持ちを伝える茅野愛衣さん(中央)

  • あの花龍勢関係者らに感謝の気持ちを伝える茅野愛衣さん(中央)

 「トーザイ、トーザイ」「あの花ファンの願いと10年来の感謝をのせてー」「天空高く輝き放ち舞いあがるー」。8日の椋神社(埼玉県秩父市下吉田)例大祭「龍勢祭」で、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」の手作りロケット「あの花龍勢」が打ち上げられた。主人公めんま役の声優茅野愛衣さんの口上に乗せて、勢いよく大空へ。神社境内の口上やぐらには、多くの関係者が登壇し、2011年から計10回続いた、あの花龍勢のラストフライトを笑顔で見届けた。

 4年ぶりに通常開催した今年の龍勢祭は、24の製造流派が計27本の龍勢を奉納。打ち上げ直前には、各流派の関係者がやぐらに上がり、独特な節回しの口上を披露して会場を盛り上げた。

 あの花龍勢の打ち上げは午後1時ごろ。やぐらには、キャラクターを演じた声優の茅野さんや近藤孝行さん、監督の長井龍雪さん、脚本の岡田磨里さんらに加え、計10回の製造に携わった流派の棟梁(とうりょう)や、龍勢祭応援団「龍勢サポーターズ」のメンバーも登壇した。

 口上を務めた茅野さんの「ご奉納ー」のかけ声とともに、芦田山の麓の発射台からあの花龍勢が大空めがけて発射。白煙をまといながら最高点まで到達すると、アニメ主人公6人が結成したグループ「超平和バスターズ」の落下傘が上空にふわりと舞い、約8万4千人訪れた会場は大歓声に包まれた。

 あの花龍勢を手がけた流派「愛火雲流」の棟梁竹内定男さん(66)は「最後の打ち上げにふさわしい、最高の出来だった」と満面の笑み。茅野さんは涙を流しながら、「あの花は、皆さんの心に残り続ける。これからも龍勢祭を応援していきたい」と語り、計10回の打ち上げに携わった多くの関係者に感謝した。

 龍勢祭を陰で支えているのは、全国各地のあの花ファンや龍勢祭好きの若者34人で構成する、「龍勢サポーターズ」だ。元吉田龍勢保存会副会長の長谷川清美さんが結成し、12年から同保存会事務局の準備作業をサポートしている。あの花龍勢の仕掛けで使用する落下傘のイラスト作成や、各流派を取材してまとめた「あの花龍勢製造日誌」をファンに配り、龍勢の魅力を全国に広めてきた。

 毎年、秋田県から応援に駆け付けている同サポーターズの佐藤翔大さん(32)は「あの花龍勢の打ち上げが終わるのは寂しいので、今後も『龍勢』と『あの花』をつなげる企画を続けてほしい」と望む。長谷川さんらは、来年の龍勢祭で、あの花龍勢計10回の軌跡を紹介する展示会を開催する予定だ。

 県立秩父高校の生徒たちは、市と連携して制作した、超平和バスターズのタオルなどを会場で販売し、祭りを盛り上げていた。同校3年の黒沢美怜さん(18)は「あの花は、秩父市民の誰もが知るアニメ作品。これからも全国に広める活動に協力していきたい」と話していた。

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