埼玉新聞

 

「千年に1度」の大雨を基準に 想定雨量を引き上げ、効果的な避難行動に 洪水浸水区域図、県が公表

  • 洪水浸水想定区域図の一部(県ホームページから)

 県は「千年に1度」の大雨を基準に作成した「洪水浸水想定区域図」を公表した。区域図は、水防法で作成・公表が義務付けられている県管理の18河川が対象。県は同法対象外の県管理148河川(区間)についても同様の基準で独自に「水害リスク情報図」を作成し、県管理全151河川(15河川は区域図と情報図の両方に該当)の浸水想定区域などを公表した。今後は市町村が作成するハザードマップに詳細な情報を反映させることで、水害時の効果的な避難行動につなげたい考えだ。

 県河川砂防課によると、水防法で区域図の作成が義務付けられているのは、洪水予報河川と水位周知河川。2015年の水防法の改正で、区域図の想定雨量の基準を従来の「100年に1度」から「千年に1度」に引き上げられた。

 基準の見直しに伴う区域図更新と併せて、区域図では対象外の148河川にも浸水想定区域や浸水継続時間などを新たにまとめた。同課は「広範囲にリスクがあることを知ってもらうために全体を対象にした」とする。

 県管理全河川の浸水想定区域などを示すのは、岐阜県、群馬県に続いて全国で3番目という。

 47都道府県で埼玉だけが「千年に1度」の基準に引き上げた区域図が1河川も公表に至っていないとして、県議会で早期の公表を求める声も出ていた。同課は「全ての県管理河川が最終的に国の直轄河川に流れ込むので、直轄河川の策定状況を見ていた」と説明。県は国の直轄河川区域図公表後の18年度から県管理河川の区域図見直しに着手した。

 今回公表した区域図で浸水想定区域が存在する51市町は、ハザードマップの作成(改良)が義務となる。その他12市町村についても情報図で浸水想定区域が示されたことから、ハザードマップの作成が進むとみられる。

 区域図と情報図は県ホームページなどで閲覧できる。

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