埼玉新聞

 

<新型コロナ>許されぬ…さいたま市議会だより大量廃棄へ「外出自粛なのに表紙がBBQ」高額費用、無駄に

  • 配布の中止が決まったさいたま市議会の市議会だより「ロクマル」82号

 さいたま市議会の市議会だより「ロクマル」が市内の全戸に配布される直前に中止されたことが27日、分かった。表紙に「行楽地でのバーベキューの様子」が描かれていることから、新型コロナウイルスによる外出自粛を市民に要請している中で、多数の議員から疑問視する声が上がったという。発行された約61万2千部の大部分が廃棄される見通しで、企画編集と印刷費用だけで計約470万円が無駄になるとみられる。

 議会局秘書課によると、「ロクマル」は定数60からの名称で年4回発行され、市内全戸にポスティングされる。今回の「82号」は12ページで61万2千部を発行。今月下旬から配布される予定だった。「あの提言どうなった?」で市議会の行った提言が新年度予算にどのように反映されたかを検証したり、各会派の議員による代表質問をQ&A方式で6ページにわたって掲載、常任委員会の活動も報告している。

 企画編集費は114万7300円、印刷費は354万7764円(いずれも税込み)。ポスティングをする配布業者へのキャンセル料も今後支払う必要がある。約3500部を公共施設に配布し、保管される一部を除き、大部分は廃棄するという。

 市議会議会広報編集委員会の委員長を務める渋谷佳孝議長は「緊急事態宣言が出て外出自粛を求めている時に、市民感情的に許されないだろうと判断した」と配布中止の理由を説明した。

 3月19日に開かれた委員会は、表紙を含め内容を了承。今月24日に印刷物が各議員に配布され、多数の議員から「どうなのか」という声が出て、配布の自粛を決めたという。27日開かれた同委員会で配布の中止を正式に決定した。

 渋谷議長は「現在の状況を想定していなかった。(3月19日の時点では)公園での遊びは問題ないとされ、その時の判断は正しかった。状況が変わった」と述べた。

 82号については、表紙も含めて経緯やおわびの文言を市議会のホームページに5月1日までに掲載する予定。次回の号にも経緯や82号の内容の掲載を検討している。

 議員の一人は「ロクマルは議会の動きを伝えるもので、議員の代表質問も掲載されている。ネットに上がるとはいえ、見られない人もいる。市民の目に触れないのは非常に残念」と話している。

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