埼玉新聞

 

<川口いじめ>被害者母親、市民団体を立ち上げ 実名公表で真実、実態伝える「幅広く改善につなげたい」

  • 記者会見で市民団体の概要を説明する森田志歩さん(左)=10日午後、川口市内

 川口市内の中学校でいじめ被害に遭った息子が自傷行為や不登校になったのは学校や市教委の不適切な対応が原因だったとして、市を相手に訴訟を起こしている母親の森田志歩さんが市民団体「Prоtect Children~えいえん乃えがお」を立ち上げた。会員は川口市民約10人で、同じ悩みを抱えた保護者や問題を共有する人たち。子どもたちの抱える問題について、弁護士や教育者などさまざまな知見で外部の応援を求めながら改善に取り組む。

 森田さんは10日、川口市内で記者会見し「子どもたちが抱える問題はいじめだけではない。学校や市教委の不適切な対応も問題。川口の行政の問題もあると思う。幅広い観点から改善に取り組みたい」と語った。11日から市民の相談を受け付ける。

 会の立ち上げで仲間から「新型コロナウイルスの陰で、傷付いて黙る子どもたちのことを忘れないでほしい」との言葉を託されたという。

 会の名の「乃」の文字は「市教委は大ウソつき」と書いた遺書を残し、2019年9月に自宅近くのマンションから飛び降りて死亡した小松田辰乃輔さん=当時(15)、県立特別支援学校高等部1年生=の名前から取った。市内では別の中学校の3年生女子生徒=当時(14)=が17年5月に登校途中の歩道橋から飛び降りて死亡する事件も起きている。

 森田さんは「辰乃輔君から手紙で『助けてください。ずっと味方でいてください』と相談を受けていた。彼のことは忘れない」と話した。

 息子の人権保護のためこれまで匿名だった。実名公表に踏み切ったことについて、森田さんは「デメリットもある。しかし、身分を明らかにすることで真実が伝わる。実態が伝わる。それによって、改善につなげたい」と語った。

 会の問い合わせは、森田さん(電話080・4182・0919)へ。

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