埼玉新聞

 

ラーメン、餃子もボリューム満点!千円で満腹 地元で最も古い町中華 なんとロースカツ、ハンバーグも人気

  • 人気メニューの冷やし中華と回鍋肉、餃子

    人気メニューの冷やし中華と回鍋肉、餃子

  • 「うちのメニューはボリューム満点」と話す高橋勝子さん=草加市氷川町の珍楽

    「うちのメニューはボリューム満点」と話す高橋勝子さん=草加市氷川町の珍楽

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  • 「うちのメニューはボリューム満点」と話す高橋勝子さん=草加市氷川町の珍楽

 今から21年前の3月、現在2代目の高橋勝子さん(78)は夫の勲さん(当時58)と店を切り盛りしていた。1958年に創業した草加で最も古いとされる町中華「珍楽」。ボリューム満点メニューの数々は、千円もあればお腹をいっぱいに満たせてくれた。勲さんはトレードマークのねじり鉢巻き姿で調理や接客にと、店内を忙しく動き回っていた。

 すると店で勲さんが突然倒れた。救急搬送先の病院でも意識のない状態が続き、3カ月後に亡くなった。死因は脳挫傷。勝子さんが55歳の時だった。何気ない日常を襲った突然の悲しみ。「眠れない日々が続き、自分も死ぬかと思った」と勝子さんは振り返る。

 「店を閉めてはいけない。前を向いて頑張る」。そう誓った勝子さん。ラーメンやギョーザ、焼き豚など勲さんのレシピを忠実に再現し、中華鍋を振り続けた。

 思い返すと、勲さんとは深夜1時近くまで2人で店に立ち、後片付け後に帰宅。布団に入ると夜が明けている時も少なくなかった。仕事に対して厳しいが、勝子さんにとても優しかったという勲さん。そんな人柄が草加で愛された。

 2018年から草加駅西口の自宅1階に店舗を移した。現在は娘婿で3代目の智洋さん(47)と一緒に働く。

 勝子さんには大きな楽しみがある。孫の秀人さん(23)が中華の道を志し、現在は都内で修業中だ。いずれは4代目として店を継ぐという。孫と一緒に厨房に立つ。今一番の夢。「体力続く限り頑張りたい。孫と一緒の姿を、夫も天国で喜んでいるはず」。勝子さんはそう信じ、夫の味を守り続ける。

【主な人気メニュー】
 ラーメン550円、餃子350円、チャーハン650円、ウマニソバ800円、エビソバ800円、回鍋肉700円など。中華以外にロースカツ600円、ハンバーグ600円、角煮700円などもある。

【メモ】
 珍楽 埼玉県草加市氷川町2140の5(電話048・916・1443)。営業時間は正午~午後2時、同5時~同10時。木曜定休日。東武スカイツリーライン草加駅西口から徒歩約5分。出前もあり。

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