埼玉新聞

 

<高校サッカー>昌平、2年連続5度目のV 篠田が先制、西武台に1―0で競り勝つ

  • 昌平―西武台 前半32分、先制ゴールを決め、喜ぶ昌平・篠田(9)。右は起点となった須藤

  • 前半31分、相手の右CKをクリアする西武台・小野(4)

 (最終日、16日・川口青木町公園陸上競技場)

 決勝を実施し、今冬の全国高校選手権ベスト8の昌平が西武台に1―0で競り勝って、2年連続5度目の頂点に立った。西武台は5年ぶりの優勝を逃した。

 昌平は前半32分、右サイドを突破した須藤がマイナス方向へクロス。相手に当たり、こぼれたボールを篠田が右足で蹴り込んで先制した。その後はゴールこそ奪えなかったが、終始攻め続けて圧倒した。

 西武台は守備陣が奮闘したものの、最後まで1点が遠く。前半の序盤にあった好機を生かしたかった。

■攻め続けた昌平、西武台退ける

 敵陣でボールを保持して攻め続けた昌平が、西武台を退けた。

 昌平は前半32分、右サイドを突破した須藤が中央へパス。相手に当たってこぼれたボールを篠田が右足で振り抜き、先制。後半も攻め手を緩めず、7本のシュートでゴールを脅かした。

 西武台は体を張った守備で1失点にとどめたが、攻撃陣が少ない好機を決められず無得点。

■進化へ確かな一歩/昌平

 新チームになっても昌平の強さは不変だ。

 ゴールにボールを入れる作業こそ1回きりだったが、試合の中身に目を向ければ最後まで西武台を圧倒。確実に2連覇を達成し、藤島監督は「取るところで取って、失点はゼロ。狭い局面での崩しにプラスして、切り替えの速さも間違いなく出せていた」と穏やかな表情で手応えを口にした。

 狭いエリアでもひるまず攻略し、好機と見るや2次攻撃、3次攻撃を仕掛ける―。昌平の良さを象徴していたのが、前半32分の先制点の場面だ。

 相手の5バックに対し、「センターバックとサイドバックの間を突ければチャンスになる」と主将でトップ下の須藤。後方からのパスを華麗に前方へはたくと、自ら右サイド深くまで切れ込み、マイナス方向へクロス。ワントップの小見には合わなかったが、こぼれを右MF篠田が「ゴールが見えたので思い切り振り抜いた」と右足で蹴り込んだ。

 今冬の全国高校選手権で8強まで進み、新チームの始動は遅かった。加えてU―18(18歳以下)日本代表でスペインに遠征した小見をはじめ、須藤とボランチの柴の3人が日本高校選抜に選出。全員そろって練習する機会はほとんどなかった。

 そのわずかな不安は、杞憂(きゆう)だった。今季はプリンスリーグ関東に5年ぶりに参入。昌平BはS1リーグで戦い、さらなる進化と底上げが見込まれる。3人が不在の間、チームをまとめてきたボランチの小川は「みんなで競争し合って、日本一が取れるチームを目指す」と拳を握った。

■新システムに手応え/西武台

 守備の時間が長く、ゴールが遠かった西武台だが、新チームのベースを模索しながら試してきた「3―4―3」のシステムに手応えをつかんだ。タイトルこそ逃したが、守屋監督は「時間をかけてじっくりつくっていけば面白いチームになる」と表情は明るい。

 未完成の攻撃でも惜しいシュートが前後半で3本はあった。そのうちの前半10分と後半14分に村田のシュートでゴールに迫った場面は、ともに両ウイングバック(WB)が供給したクロスからつくった好機だった。

 両WBを生かせるかどうかで攻撃は変わる。左WBの岡崎は「相手に押し込まれてしまった。もっと攻撃参加ができていれば結果も違った」と悔やむ。ボールを奪ってからのつなぎも重要で、マイボールをキープできれば、WBが守備に追われずに高い位置で仕事ができるようになるはずだ。

 1失点で奮闘した守備陣には、守屋監督が「昨年より半年以上も早い仕上がり」と太鼓判を押す。だが、試合に敗れて満足はできない。主将でセンターバックの大川は「失点してしまったら、好機の少ない試合で勝ち切れない」と唇をかんだ。

 大会を通じて課題が浮き彫りになった攻撃と安定感が増した守備。収穫の多い船出となった。

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