埼玉新聞

 

<高校ラグビー>川越東、創部34年目で初優勝 昌平に36―19、反撃抑え逃げ切る

  • 昌平―川越東 後半ロスタイム、トライを決めたCTB岩下(中央)を中心に喜ぶ川越東フィフティーン

  • 前半28分、昌平のSO篠崎(中央)が突破を阻まれる

 (8日)

 (最終日・熊谷ラグビー場)

 決勝などを行い、創部34年目の川越東が決勝で昌平に36―19で快勝し、初優勝した。川越東は全国高校選抜大会(3月24~31日・熊谷ラグビー場)に出場する。同校の出場は、3年ぶり2度目。

 川越東は7分にフッカー石山が先制トライを挙げるなど、前半だけでトライ3本を奪って主導権を掌握した。後半もCTB住吉らがトライ3本を追加。守っては、昌平の反撃をトライ3本に抑えて逃げ切った。

 川越東と昌平は、関東高校新人大会(15、16、22、23日・栃木、群馬)に出場する。

■川越東、6トライ奪い快勝

 FW、バックス一体の攻撃で、川越東が6トライを奪い快勝した。

 川越東はモールを起点に攻め、前半7分にフッカー石山、同14分にフランカー柴田がトライ。同19分にはグラウンドを広く使ってパスを右サイドから左サイドへとつなぎ、FB江田がチーム3本目のトライを決めた。後半も試合終了間際にCTB岩下がダメ押しトライを奪うなど、トライ3本を追加した。

 昌平は守備に追われる時間が長く、攻撃力を発揮できず。反撃はトライ3本にとどまった。

■大一番でFW躍動/川越東

 川越東が圧倒的な攻撃力を見せつけ、創部34年目で初優勝を遂げた。望月監督は「想像以上に(選手たちが)伸びた。一生懸命練習した結果だ」と喜びをかみしめた。

 チームの強みでもあるバックスの決定力をしのぐほどの存在感を示したFW陣が躍動した。前半7分、マイボールラインアウトからモールで前進。モールが崩れた後も連続ラックで攻め続け、「FWで勝ち切るんだ」とフッカー石山が抜け出して先制トライを決めた。

 同14分もラインアウトからモールで押し込み、フランカー柴田がトライ。FWの活躍に触発されたバックス陣もFB江田、CTB住吉、WTB渡辺、CTB岩下がトライを奪うなど本領を発揮した。

 大会前、優勝候補に挙がったチームの前評判はバックスの強さだった。「川越東はバックスのチーム」と言われることを悔しがるFWリーダーのフランカー柴は「FWのチームだと覆したい」と、より練習に力が入り、モールを武器になるまで磨き上げた。大会を通して成長したFW陣が、バックスを生かすことにもつながり、相乗効果を生んでいる。

 県新人大会で準優勝し、全国高校選抜大会に初出場した2017年は、開催県枠の出場だった。だが、今年は違う。主将の江田は「県1位としてしっかり戦っていきたい」と力を込め、3年前とは一味違う川越東のラグビーを披露するつもりだ。

■守備崩れリズム失う/昌平

 初優勝が懸かった決勝で、昌平の守備が崩れた。御代田監督は「全然ダメ。これだけディフェンスができないとは」と嘆き、「帰って練習。ゼロからやり直し」と選手たちに厳しい言葉を突き付けた。

 得意のダブルタックルは決まらず、マークも甘い守備網の間をランでやすやすと抜かれた。モールでも力負けし、前後半で3本ずつのトライを許した。集中力の欠けた守備では川越東の攻撃を防ぐことができなかった。

 守備の悪いリズムが攻撃にも響いた。反撃したかった風上の後半にも「キックを織り交ぜて攻撃しようと思ったが、うまくいかなかった」とSO篠崎。攻撃のテンポを変えられずに単調な攻撃が続いた。

 優勝校に与えられる全国高校選抜大会の出場権を逃したが、関東高校新人大会の結果次第で2年ぶりの選抜出場の可能性は残されている。主将のCTB黒埼は「関東では、こんなみっともない試合は絶対にしない。今日の反省を生かしたい」と再出発を誓った。

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