埼玉新聞

 

<高校ラグビー>浦和、悲願の“冬の全国初勝利” 開幕戦で岡山・玉島に5―0 無失点のまま逃げ切る

  • 玉島―浦和 花園初勝利を挙げ、抱き合って喜ぶ浦和フィフティーン=27日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場

 第99回全国高校ラグビー大会は27日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で51校が参加して開幕。1回戦8試合を行い、埼玉代表で6大会ぶり3度目出場の浦和は、開会式直後の第1グラウンドの開幕戦で玉島(岡山)に5―0で競り勝ち、初勝利を挙げた。浦和は30日に初出場の青森山田と“年越し”を懸けて2回戦を争う(15時15分・第3グラウンド)。

 0―0の後半15分、モールから主将でナンバー8の松永が左中間にトライ。待望の得点が入れば「浦高」伝統の低くて鋭いタックルもよりさえ渡る。そして、無失点のまま逃げ切り、昭和でも平成でも届かなかった悲願の“冬の全国初勝利”をつかみ取った。ノーサイドの瞬間、バックスタンドの半分以上を埋めた応援団は総立ち。グラウンド上では抱き合って大喜びする選手たちの姿。浦和OBで、指揮を執って2年目になる三宅監督の目にも光るものがあった。

 フィフティーンの歩みを見れば、高校生には無限の可能性があると実感できる。

 中学時代のラグビー経験者は各学年に1人ずつ。先発メンバーでは松永とフッカーの2年生山際の2人だけだ。

 決して猛練習で力を付けるわけではない。「考える力」が成長の源だ。言わずと知れた県内トップクラスの進学校は、文武両道を意味する「尚文昌武(しょうぶんしょうぶ)」を教育精神に掲げ、勉強、部活動、学校行事に力を注ぐ。平日の練習は2時間~2時間半。その後、午後10時ごろまで勉強してから帰宅する選手もいる。

 自身も高校入学後にラグビーを始めた三宅監督は「考えさせることで飛躍的に伸びないと、他のチームには追い付けない」と就任した昨年から自主性を促してきた。最初は戸惑った選手たちも応えるように、6人一組のチームトークなどで課題を解決することで「1」教わったことを「2」にも「3」にもしてきた。

 三宅監督は「まずはボールを取るところ、ボールを投げるところから始めた。本当に夢のよう。ここでプレーできる彼らが、うらやましいですね」と少年のような笑顔で教え子たちの活躍をたたえ、松永は「ここまで来られたのは偶然じゃなくて、努力の積み重ね」と誇らしげに笑った。

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