埼玉新聞

 

さいたま市教育長、9条俳句作者に直接謝罪 公民館だよりに俳句掲載へ 作者「公民館で伸び伸び学びたい」

  • 9条俳句不掲載で作者女性に謝罪する細田真由美さいたま市教育長=31日午後、埼玉県さいたま市大宮区の三橋公民館

 公民館だよりへの憲法9条を詠んだ俳句掲載が拒否された問題で、さいたま市教育委員会の細田真由美教育長は31日、大宮区の三橋公民館を訪れ、俳句の作者女性(78)に直接謝罪した。俳句は2月1日発行の公民館だよりに掲載する。

 細田教育長は「司法判断を真摯(しんし)に受け止め、謝罪するとともに俳句を公民館だより2月号に掲載させていただきます。長きにわたり、お心が休まらない日々を過ごされたと存じます。心よりおわび申し上げます」と謝罪。

 謝罪を受けた女性は「昨年末に謝罪と掲載を決断していただき、うれしく、ほっと安心した。4年半、このことを思い煩わない日はなかった。公民館は私たちにとって近くで学べる場で、自由に伸び伸び学びたいとの思いがある。これを保障していただけるように」と受け入れた。

 女性は2014年6月、三橋公民館で活動する句会で、「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ。秀句として公民館だよりへの掲載が決まったが、公民館は「公平性、中立性を害する」として、掲載を拒否した。

 女性は15年6月に市を提訴。17年10月、一審さいたま地裁は「思想や信条を理由に不公正な取り扱いをした」として、市に慰謝料5万円の賠償を命じた。昨年5月、二審の東京高裁判決も不公正な取り扱いをしたと認定、市に慰謝料5千円の賠償を命じた。

 最高裁は昨年12月、双方の上告を棄却し、二審判決が確定。これを受け、細田教育長は「作者の気持ちに配慮する」として、女性に謝罪し、俳句を公民館だよりに掲載する方針を発表していた。

 市教委によると、俳句作品はこれまでの経緯を説明する文章とともに、公民館だより2月号に掲載される。

ツイート シェア シェア