埼玉新聞

 

吾が無実 叫び続けて六十年…石川さんが支援呼びかけ「冤罪が晴れるまで闘う」 狭山事件、逮捕から60年

  • 集会で再審を訴える石川一雄さん(左)と妻の早智子さん=23日午後、東京都千代田区の日比谷公園

    集会で再審を訴える石川一雄さん(左)と妻の早智子さん=23日午後、東京都千代田区の日比谷公園

  • 集会で再審を訴える石川一雄さん(左)と妻の早智子さん=23日午後、東京都千代田区の日比谷公園

 埼玉県狭山市で1963年、女子高校生=当時(16)=が殺害された狭山事件で無期懲役となり、服役後に仮釈放された石川一雄さん(84)の再審開始を求める集会が23日、東京都千代田区で開かれた。60年前のこの日は石川さんが別件で初めて逮捕された日。あいにくの雨天にもかかわらず、会場には30以上の都府県から約1200人が駆け付けた。石川さんは「冤罪(えんざい)が晴れるまで闘う」と支援者らに呼びかけた。

 集会は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会が主催した。会場の野外音楽堂では、石川さんや妻の早智子さん、弁護団の事務局長を務める中北龍太郎弁護士らが登壇。鑑定人尋問などを求める50万筆以上の署名が入った段ボール箱を前に、再審開始と石川さんの無実を訴えた。

 石川さんは「この60年は涙、涙。皆さんには涙を流すのを見せることはできなかった。やってはいけないと思った」と振り返り、「目はちょっと不自由になってしまったが元気に闘っていきますので、冤罪が晴れるまで応援をお願いします」と呼びかけた。今の心情については「吾(わ)が無実/叫び続けて六十年/動かせ司法/万座(まんざ)の声で」と短歌で詠んだ。

 妻の早智子さんは「頂いた50万筆の署名は世論。60年目を迎えた今、狭山事件は大きく動いている。再審開始が実現され、夫が生きている間に何としても冤罪が晴れるように闘う」と時折、声を詰まらせながら話した。中北弁護士は「事件後の不当逮捕から60年目の節目の年。鑑定人尋問の実現、万年筆インクの鑑定をどうしても実現しなければならない」と訴えた。

 会場には、66年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、今年3月に再審開始が決まった袴田巌さんの姉ひで子さん(90)も駆け付けた。ひで子さんは事件から57年後に再審開始となったことを挙げ、「石川さんは(袴田事件より)3年も長く闘っている。巌だけが助かればいいというものではない。今度こそは石川さんの再審開始。応援をお願いします」と呼びかけた。

■狭山事件

 1963年5月1日、狭山市の女子高校生=当時(16)=が誘拐され、家族に身代金を要求する脅迫状が届いた。県警は受け渡し場所で犯人を取り逃がし、女子高校生は遺体で見つかった。県警は現場近くに住んでいた当時24歳の石川一雄さんを逮捕。石川さんは77年に最高裁で無期懲役が確定し、94年に仮釈放された。弁護団は2006年に申し立てた第3次再審請求で、脅迫状の筆跡と石川さんの筆跡が異なることや、石川さん宅から押収された女子高校生のものとみられる万年筆と、女子高校生が使っていたインクの成分が異なることなどを指摘し、鑑定人尋問などを求めている。

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