埼玉新聞

 

<台風19号>県内警戒、イベント中止や機材の撤去など対応急ぐ 参院補選で設置の看板外す作業も

  • 台風19号の接近に備え、機材の撤去作業が急ピッチで進められたファンゾーン跡地=11日午後、熊谷市本町

  • 県内各地で台風に備え臨時休業を知らせる張り紙が見られた=11日午後、宮代町山崎の直売所「森の市場 結」

 台風19号の接近に伴い、県内では11日、被害をできるだけ防ごうと対応を急いだ。各地でイベントの中止が決まり、各自治体は自主避難所を開設。食料品などを求めて、スーパーなどでは一部商品が品切れとなった。

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 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で熊谷市本町のコミュニティひろばに9日まで設置されていたファンゾーン跡地では、機材の撤去作業が急ピッチで進められた。

 市ラグビーワールドカップ2019推進室によると、撤去作業は10日朝に始まった。18日までに完了させる予定だったが、「強風で飛散し、周辺に被害が出る恐れがある」として急きょ工程を前倒し。ステージの骨組みと仮設トイレ以外の撤去を終え、残った機材についても重しやロープで固定するなど対策を講じた。のぼり旗やちょうちんといった街なかの大型装飾も急いで取り外したという。

 県東部では参院埼玉選挙区補欠選挙で一度設置された選挙看板を外す作業が行われた。業者の男性は「危険な場所にある看板を取り外し、再度取り付ける。台風じゃしょうがないね」と作業を急いだ。

 宮代町山崎の「新しい村」の直売所「森の市場 結」は、12日の臨時休業を決めた。テントや椅子の片付けに追われ、所長の荒木敬子さんは「前回(台風15号)は広場が水浸しになり、近くの木も数本倒れた。被害がなければよいけど」と不安を口にした。

 気象庁が台風19号について、1958年の「狩野川台風並み」と発表し警戒を呼び掛けたことから、当時、内水氾濫で大きな被害を受けた川口市など自治体の担当者や荒川の水防を担当する県土整備事務所の担当者は警戒感を強めている。

 さいたま市の鴨川、戸田市の笹目川と菖蒲川、川口市の芝川の4カ所の水門と高性能ポンプを備えた排水機場4カ所、国交省が管理する川口市の新芝川水門と排水機場。これらは狩野川台風の際には整備されていなかった。荒川の彩湖や芝川の第1調節池なども当時はなかった。治水整備は格段に向上したが、「絶対に安全とは言えない」と、県や川口市の防災担当者は口をそろえた。

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