埼玉新聞

 

<高校野球>花咲徳栄、浦和学院に2―1 土壇場で追い付き、強豪対決制す「負けられない一戦だった」

  • 花咲徳栄―浦和学院 最後の打者を三振に切って取り、雄たけびを上げる花咲徳栄のエース高森

 (5日・県営大宮)

 秋季県大会は準決勝を実施し、花咲徳栄と西武台がそれぞれ勝って、決勝に進出するとともに来春の選抜大会出場への最終関門となる関東大会(19~21、26、27日・群馬)の出場権を獲得した。関東大会出場は花咲徳栄が2年ぶり13度目、西武台は23年ぶり4度目となる。

 花咲徳栄は浦和学院を延長十回、2―1で下した。0―1の九回に栗島の中犠飛で追い付くと、十回にも1死満塁から井上の右犠飛で決勝点を奪った。西武台は33年ぶりの関東出場を狙った川口市立を7―1で圧倒。1点を追う四回に松木のソロと横江のスクイズで逆転し、その後も加点した。

 決勝は6日、県営大宮で午前10時にプレーボール。花咲徳栄が2年ぶり6度目、西武台は初優勝を懸けて対戦する。

■花咲徳栄、井上の右犠飛で決勝点

 土壇場で追い付いた花咲徳栄が、浦和学院との延長戦を制した。

 花咲徳栄は0―1の九回、1死から井上の内野安打などで満塁とすると栗島の中犠飛で同点。延長十回には1死満塁から井上の右犠飛で決勝点を奪った。投げては高森が7安打1失点で完投。浦和学院は先発美又が好投したがリードを守れず。打線は高森を捉え切れず、つながりも欠いた。

■気迫と執念、逆転導く/花咲徳栄

 トクハル、ウラガクという愛称で県内のみならず、全国の高校野球ファンから親しまれている両校。ともに甲子園の優勝経験のあるライバル対決は、期待以上に火花散るハイレベルな熱戦となったが、最後は花咲徳栄の気迫と執念が浦和学院をわずかに上回った。岩井監督は「時代を築いてきた両チームということはみんな分かっている。負けられない一戦だった」と胸をなで下ろした。

 「新チームになって、あそこまで点が入らなかったことはない」と主将の中井。自慢の強力打線は好機はつくるものの、浦和学院の先発美又の内角攻めにも苦しみ、あと一本が出なかった。八回までまさかのゼロ行進。それでも1失点と、援護を待って好投を続けるエース左腕高森に勇気をもらった打線がついに応えた。

 0―1の九回。1死から口火を切ったのは井上だ。強打の象徴の4番は「何とかしたかった」と三遊間の当たりに、一塁へ頭から突っ込み内野安打で出塁した。中井が四球、渡壁が死球でつなぐと、栗島は「絶対に決める」と高めの直球をたたく中犠飛で、土壇場で同点。つかんだ流れは手放さない。十回も1死から満塁を築き、井上がライトに高々と打ち上げる犠飛で決勝点を奪った。

 紙一重の戦いを制して手にした関東切符。中井は「正直、動揺や焦りはあったが、技術よりも気迫や執念で1点を取りにいく姿勢を出せたことはよかった」と拳を握り、「この勝利はこれからのチームにとって、大事な1勝になる」と続けた。

 走塁を含めた攻撃面で課題はあるにせよ、好敵手の一球に食らい付く姿から学んだことは、今後のチームの成長を後押ししてくれるはずだ。

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