埼玉新聞

 

残念…樹齢500年の大木が倒壊 被害が拡大する「ナラ枯れ」で枯死か 薬剤など予防策も診断は「95%ぐらいが死んだ状態」 2月に天然記念物の指定を解除 今年5月、根元が盛り上がった状態で倒れていた

  • 倒壊する前の姥樫。大きくねじれた幹が特徴だった(ときがわ町教育委員会提供)

    倒壊する前の姥樫。大きくねじれた幹が特徴だった(ときがわ町教育委員会提供)

  • 倒壊した姥樫(ときがわ町教育委員会提供)

    倒壊した姥樫(ときがわ町教育委員会提供)

  • 倒壊する前の姥樫。大きくねじれた幹が特徴だった(ときがわ町教育委員会提供)
  • 倒壊した姥樫(ときがわ町教育委員会提供)

 ときがわ町にあった推定樹齢約500年の大木「姥樫(うばかし)」が今年5月に倒壊していたことが、町教育委員会への取材で分かった。「ナラ枯れ」が原因で枯死したとみられる。町の天然記念物で、地元では「うばっかし」の呼び名で親しまれてきた。衰弱が進んだことなどから、町は今年2月に天然記念物の指定を解除していた。担当者は「個性的な木だった。倒壊は残念だ」としている。

 姥樫はブナ科のアカガシで、同町椚平の山あいの民有地にあった。2012年の計測では幹回り8・1メートル、高さ31・8メートル。大きくねじれた幹や上部に広がる枝を特徴としていた。

 「うばっかし」という呼称には「姥のような老樹」という意味があるといわれる。

 町教委によると姥樫は09年3月、町天然記念物として文化財に指定された。周囲には遊歩道が整備されるなどした。

 ナラ枯れは25年8月に確認された。同9月には樹木医から「木の95%ぐらいが死んだ状態で、復活の見込みがない」との診断を受けた。

 その1年ほど前、姥樫の周りの樹木にナラ枯れの症状が現れたため、姥樫には薬剤を注入するなどの予防策が取られてきた。しかし「ナラ枯れで一気に葉が赤くなっていった」(町教委)という。

 樹木医の診断を受けて町は、倒木の危険性があるとして周辺への立ち入りを禁止した。

 また天然記念物の指定を解除した上で伐採を行うことについて、町文化財保護審議委員会に諮問。今年1月に「指定の解除が妥当」との結論が出され2月27日、姥樫は天然記念物の指定を解除された。

 姥樫が倒壊したのはその約3カ月後。5月のことだ。町職員らが確認したところ、根元が盛り上がった状態で斜面に倒れていたという。

 ナラ枯れは昆虫の「カシノナガキクイムシ」が運ぶナラ菌が樹木に入り、コナラなどの広葉樹を枯死させる。県内では19年度に初めて確認され、各地に被害が拡大している。

 「全国巨樹・巨木林の会」会員で県立川の博物館の学芸員などを務めた大久根茂さん(74)は、姥樫について「最初に出合った時は恐ろしさのようなものを感じた。多くの巨樹を見ているが、雰囲気が素晴らしかった」と説明。「姥樫がなくなってしまったのは残念。ナラ枯れが巨木にも広がっていることに驚いた」と話している。

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