夫と息子死去…ともに働き、中皮腫にかかった2人 妻が裁判所前で「勝利和解」と掲げる 建材メーカーに損害賠償を求めたアスベスト訴訟、一部和解「今までに13人が亡くなった」
首都圏の建設現場などでアスベスト(石綿)による健康被害を受けたとして、元作業員とその遺族ら90人が建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟は6日、さいたま地裁で一部の和解が成立した。弁護団は「埼玉1陣訴訟」と位置付けており、メーカー10社と和解が成立。うち4社が賠償と健康被害について謝罪し、当事者41人を含む原告58人に対し和解金約5億6810万円を支払うとした。
アスベストの被害を巡っては、全国各地で訴訟が起こされ、埼玉では県内在住の被災者を中心に2020年3月に第1陣の提訴をさいたま地裁に起こした。21年5月に最高裁が国の責任を認める判決を出したほか、同年6月に給付金に関する法律が成立。第1陣は最高裁判決後に国と順次和解が成立。昨年6月に結審し、今年1月に地裁から和解案が示され、協議を経て6日の和解に至った。
第1審段階で和解が成立するのは6月の東京地裁、7月の京都地裁に次いで3例目となった。残る原告32人については年内の判決で判断が下される見通し。昨年12月には第2陣提訴として、元作業員ら11人が建材メーカーを相手取り損害賠償を求めた訴訟をさいたま地裁に起こしている。
訴状などによると、建材メーカーは建材にアスベストが含有され、アスベストが健康被害を引き起こすことを知りながら作業員に対して防じんマスクの着用の義務付けを行わず、警告表示も行わなかったとされる。
■「亡き夫と息子に報告」遺族ら歓喜
さいたま市浦和区の裁判所前には支援者ら113人が駆け付け、和解成立の時を待った。午後3時半ごろ、原告団代表委員の大坂春子さん(83)らが「勝利和解」などと書かれた旗出しを行い、歓喜の渦に包まれた。
和解期日後に原告団は、同区の県民健康センターで報告集会を行った。弁護団事務局長の竹内和正弁護士は、訴訟から現在までに13人の被災者が亡くなったことに触れ、「地裁で和解が成立すれば早期に闘いが終えられる」と審理の短縮化を期待。「アスベスト被害は、20~30年たってから被害が出ることもある。今後は裁判を起こさないように、メーカーの責任を認められるように給付金を改正してほしい」と願った。
大坂さんは夫と息子が大工として働いていたが、2人ともアスベスト被害で中皮腫にかかって亡くなった。遺族原告として夫の東京1陣訴訟、息子の埼玉1陣訴訟を闘ってきた大坂さんは「本当にうれしい。今日という日を夫と息子に報告したい」とコメント。一方で、全ての被災者に対して救済が済んでいないことから「アスベストの問題は終わっていない。できることを少しでも続けていきたい」とした。











