埼玉新聞

 

狭山事件と日野町事件 遺族、対談で訴え 共に「死後再審」申し立て 「(検察側は)全て証拠を開示すべき」

  • 狭山事件の再審無罪を訴えて声を上げる石川早智子さん(右)と阪原弘次さん=12日午後、狭山市入間川1丁目の市民交流センター

    狭山事件の再審無罪を訴えて声を上げる石川早智子さん(右)と阪原弘次さん=12日午後、狭山市入間川1丁目の市民交流センター

  • 【地図】狭山市(背景薄緑)
  • 狭山事件の再審無罪を訴えて声を上げる石川早智子さん(右)と阪原弘次さん=12日午後、狭山市入間川1丁目の市民交流センター
  • 【地図】狭山市(背景薄緑)

 77年ぶりの再審制度の改正に向けた審議が参院で進んでいることを受け、冤罪(えんざい)被害者らが12日、狭山市の市民交流センターで集会を行った。「狭山事件」で再審請求人の石川早智子さん(79)、「日野町事件」で再審請求人の阪原弘次さん(65)が対談。6月には死後再審で日野町事件の無罪が確実となり、「今こそ再審制度を改正し、次こそ狭山だ」と狭山事件の無罪へ士気を高めた。

 集会は狭山事件の支援者らを中心に、約130人が参加した。1963年に狭山市で女子高校生が殺害された狭山事件では、無期懲役の判決を受けた石川一雄さんが無罪を訴え続けていたが、昨年3月に86歳で亡くなった。翌4月から妻早智子さんが第4次再審請求を申し立てている。日野町事件では85年、滋賀県日野町の店主が遺体で発見され、阪原弘さんが無期懲役の判決を受け、無罪を訴えていたが2011年に75歳で亡くなった。長男の弘次さんが12年に第2次再審請求を申し立て、今年6月に再審無罪が確実となった。

 阪原さんは対談に先立ち、他の再審無罪となった当事者から引き継いだだるまを早智子さんに手渡し、「再審無罪を勝ち取って、冤罪に苦しんでいる人につなげていってもらいたい」と託した。いずれの事件も被告人が亡くなり、遺族が再審を申し立てる「死後再審」という共通点があり、阪原さんは「亡くなっても名誉を回復してあげたいという気持ちは同じ。検察側は有罪立証をする証拠があるなら、全て証拠を開示すべきだ」と主張した。

 早智子さんはだるまを受け取り、「日野町に続くぞ」と気を引き締めた。衆議院で審議された再審制度について、当初検察官の不服申し立て(抗告)の記載がなかったものの、審議を経て刑事訴訟法の改正案では本則で抗告が原則禁止と明記され、「光が見えた。参院でも冤罪被害者が一日も早く助かる法律にしてほしい」と期待した。

 部落解放同盟狭山闘争本部長の片岡明幸さんは、東京高裁で審理されている狭山事件の再審請求審の現状を紹介。裁判長が4月に交代し、7月中旬に弁護側から裁判長に立証予定をプレゼンテーションする機会が設けられるという。「狭山事件は一番大きなヤマ場を迎えている。これまでの運動の成果を出し、勝負をかけたい」と話した。

 集会終了後には、西武新宿線狭山市駅西口で早智子さんや阪原さんが通行人に冤罪事件の実態を訴えた。早智子さんは「亡くなっても一雄には見えない手錠がかかっている。手錠を外すためにも皆さんの力を貸してください」と呼びかけた。

ツイート シェア シェア