埼玉新聞

 

大変なことになった…農家の家宝「不思議な石」が隕石登録 国内54番目、県内3例目の「越谷隕石」

  • 隕石を披露する中村勉さん=埼玉県越谷市大里

    隕石を披露する中村勉さん=埼玉県越谷市大里

  • 隕石を披露する中村勉さん=埼玉県越谷市大里

 埼玉県越谷市大里の中村勉さん(72)所有の石が2月23日、国際隕石(いんせき)学会により「越谷隕石」として登録された。隕石の登録は国内54番目、県内では1958年「岡部隕石」(深谷市)、86年「狭山隕石」(狭山市)に続き3例目。中村さんは「宇宙から届いた宝物。これからも大切に保管していきたい」と話している。

 国立科学博物館などによると、今から121年前の1902年(明治35)年3月8日早朝、南埼玉郡桜井村大字大里(現在の越谷市)にある中村喜八氏の田畑に巨大な穴が突然でき、地下約1メートルから石が発見された。石の大きさはおよそ高さ10センチ、幅18センチ、重さ4キロ。この出来事は当時の新聞でも報じられた。中村家では当時から、家宝として大切に保管してきた。

 この地で農業を営み現在18代目の中村勉さんは、幼少期から祖父や父親に「空から降ってきた不思議な石」の話を何度も聞かされてきた。後世まで石を守り続けるよう言い伝えもあったという。

 2021年、NPO法人「越谷市郷土研究会」を介して、同博物館に成分分析を依頼。ガンマ線測定の結果、宇宙線によって生成される放射性核種の「アルミニウム―26」を検出。落下日の記録と照らし合わせて隕石と判明し、2月に「越谷隕石」と登録された。成分などから小惑星が起源だという。

 隕石の見た目は黒く、手触りは普通の石と変わらない。大きく異なるのが磁力。磁石を近づけるとくっつき「普通の石ではないとずっと思っていた」と中村さんは話す。

 今回の登録を受けて中村さんは「本物の隕石ということで大変なことになったなと。貴重な品で取り扱いに困りますね」と苦笑いする。

 隕石は現在も分析が進められ、今後は同博物館で一部を公開する予定。中村さんは「先祖代々が保管してきたように、これからも大切に守り続けていきたい」と話している。

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